『おおかみこども~』も大ヒット! “獣耳”人気が止まらない

マンガ

更新日:2012/10/3

  夏休みの家族連れにも大好評だった『おおかみこどもの雨と雪』。興行収入も40億を突破し、ハウスシチューとのコラボCMも放送されるなど、公開から2ヶ月以上経った今もその人気はまだまだ衰えない。この『おおかみこどもの雨と雪』大ヒットの理由のひとつに、“獣耳”人気があるだろう。

advertisement

 獣耳=ケモミミとは、「猫耳」と呼ばれる猫の耳や「うさ耳」と呼ばれるウサギの耳など動物の耳の形をした耳のことで、いわゆる萌え要素のひとつ。人間型のキャラクターで動物型の耳がついた“獣耳キャラ”が、いま絶大な人気を誇っているのだ。実際、『おおかみこども~』でも、公式グッズのひとつとして狼耳のカチューシャも販売されており、まさに獣耳ファンのための映画と言っても過言ではない。

 『おおかみこども~』だけではない。『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』でアスカが着る戦闘用の新型猫耳プラグスーツのラフが公開されたり、10月20日公開予定の桜庭一樹原作のアニメ映画『伏』では人と犬の血をひくキャラクターたちが登場、また犬っぽい人や猫っぽい人の国を描いたアニメ『DOGDAYS』(藤真拓哉、都築真紀/角川書店)も放映されるなど、このところの“獣耳”キャラの勢いはとどまるところを知らない。

 さらに、その勢いは2次元から3次元にも波及。ファッション業界でも猫ブームが起きており、猫耳カチューシャや髪型を猫の耳のようにアレンジした猫耳ヘアーが人気だ。その火付け役となったのは、きゃりーぱみゅぱみゅやAMOといった原宿系のモデルで、昨年末から今年にかけてテレビや街でも頻繁に目にするようになった。

 今世間を賑わせる大注目の獣耳だが、その歴史は意外と古い。手塚治虫の作品に猫耳らしきものが登場しており、それが日本の獣耳第1号ではないかとも言われている。ほかにも少女マンガ『綿の国星』(大島弓子/白泉社)のチビ猫や『Dr.スランプ』(鳥山 明/集英社)のアラレちゃんの猫耳コスプレなど、いくつかの猫耳が登場するが、1990年代後半には、猫耳だけじゃ飽き足らず、『犬夜叉』(高橋 留美子/講談社)の犬耳や、『デ・ジ・キャラット』(こげどんぼ*/ソフトバンククリエイティブ)のうさ耳なども登場するようになる。

 そして、2000年代の萌えブームと相まって、『ギャラクシーエンジェル』(水野 良、ブロッコリー:著、重戦車工房:イラスト/富士見書房)の垂れ耳ウサギ型のうさ耳をしたミント、『狼と香辛料』(支倉凍砂、文倉 十/メディアワークス)の狼耳を持つ少女ホロ、『我が家のお稲荷さま。』(柴村 仁:著、放電映像:イラスト/メディアワークス) の狐耳キャラ・天狐空幻など、多くの作品にさまざな種類の動物の耳を持つキャラが登場し、萌え要素として完全に定着、総称して“獣耳”と呼ばれるようになった。

 そんな獣耳キャラには、やはり本当の動物にはない可愛らしさがある。見た目は耳や尻尾が生えている以外、普通の人間とそんなに変わらないのに、警戒して耳をピンと立てたり、落ち込んでいるとへなっとなったり、獣耳自体が性格を表したりしている。それに、モフモフとした獣耳は触りたくなるし、耳を触られて過剰に反応するところも可愛くて、ついついかまいたくなってしまう。また、ふだん獣耳を隠しているキャラは、びっくりしたり興奮した時にだけ耳が出てくる。そこで慌てて頭に手を当てたり、涙目になって必死に隠そうとする姿にもキュンとくる。隠そうとしても隠せない、本能ダダ漏れな獣耳キャラだからこそ、その無邪気さや無防備さに萌えるのだ。

 9月22日に発売された『ノーゲーム・ノーライフ2 ゲーマー兄妹が獣耳っ子の国に目をつけたようです』(榎宮祐/メディアファクトリー)では、タイトル通り獣耳の国が登場する。“獣耳っ子の国”なんて、獣耳好きにはたまらない! もし本当にあるならぜひお邪魔させていただきたいものだ。逆に獣耳のよさが理解できないという人も、この本を読めばその魅力に取りつかれてしまうかも?