長澤まさみもハマる 話題の爆笑エッセイ

芸能

更新日:2012/10/3

 大ヒット映画『モテキ』でかわいいビッチな女の子を演じた長澤まさみ。清純派として封印してきたエロを解禁し、その健康的な色気に男性からの絶大な支持を集めた。この作品をきっかけに新境地を開拓、再ブレークを果たした長澤が最近ハマっているのが、北大路公子の『生きていてもいいかしら日記』(文庫:PHP研究所、単行本:毎日新聞社)だそう。『ar』10月号(主婦と生活社)のインタビューで答えたものだが、ちなみに長澤と仲良しの榮倉奈々も以前ブログで「この方の本が、本ッッ当にダイスキ」と紹介しており、もしかして榮倉に薦められたのだろうか。

 長澤、榮倉という旬の女優ふたりもハマっているという、この『生きていてもいいかしら日記』は、40歳を過ぎても独身のまま実家で暮らしていて、昼間っからお酒を飲むのが大好きという作者の自堕落な日々をつづったエッセイ集。
 
 たとえば、ある夏の日には、暑さですぐぬるくなるビールを急いで飲み干そうと焦り、その結果飲酒ペースが上がって今自分が飲んでいるのがビールなのかコーンスープなのかわからなくなるほど酔っ払うという“ビールのコーンスープ化現象”なる事態を起こす。また、引きこもりのリハビリのために街へ出かけてみた日は、無意識のうちに「目につく看板を次々声に出して読んでいることに気づいて戦慄」し「早く社会に戻りたい」と願う。

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 体脂肪率が40%を超えてしまった日には「見知らぬ娘さんに足を踏まれても、その四割が脂肪という後ろめたさに、抗議の声も四割方低くなろう。マッサージに行っても、心地よさは四割マイナスだ。万が一、佐藤浩市に肩を抱かれても、ぬくもり四割減」と嘆く。

 あげく一体どんな姿を見かけられたのか、隣に住む妹のもとにママ友たちから「……お姉さんて何?」という問い合わせが殺到する……。悲しんでいるのかそうでもないのかよくわからないが、この本の中にはこんな風に数々の自虐ネタが散りばめられている。しかし、決してネチネチしたネガティブな自虐ではない、すべてを笑いに変えてしまうのだ。

 さらに彼女は偉人伝が大好きなのだが、その理由も「世の中には努力して頑張っている人がこんなにたくさんいるのだから、私はそれほど頑張らなくてもいいや」という人生観を確立させてくれたから。その結果、「世の中には働いている人がこんなにたくさんいるのだから、私はビール飲んでもいいや」と昼間っからビールを飲む始末。そんな生活なのに、全然悲観的でも投げやりでもない。もしも同じ境遇の人がいたら、なぜこんなに楽しそうに暮らせるのかと疑問に思ってしまうことだろう。

 「ありのまま、思うがままでいいじゃないか」という開き直った考え方で読者の心もふっと軽くしてくれる彼女の文章を読めば、すべてをさらけ出せる気がしてくる。今までダメな部分を隠して取り繕っていた人は、そのことが急にバカらしく思えてしまうほどだ。

 『モテキ』以降、ピュアな雰囲気はそのままに、清純派からエロイことやおバカなこともできるようなさばけた印象に変わった長澤まさみ。そのおかげでそれまであまり芳しくなかった女子からの人気も獲得することができ、再び勢いづいてきているのだが、まさかその背景にはこの『生きていてもいいかしら日記』の影響もあったのだろうか?
あなたも、行き詰まっていたり、落ち込んでいたり、悩んでたり……そんなときは、思わず笑ってしまい、いつのまにか元気が出てくるこのエッセイ集を読めば、一皮むけるかもしれない。