ミステリーファン必見!北村 薫が語る 映画『推理作家ポー 最期の5日間』

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更新日:2012/10/5

『推理作家ポー 最期の5日間』の気になる内容

  酒に酔ったポーが酒場で一悶着起こし閉めだされていたころ、その残虐な殺人事件は起きた。彼の書いた『モルグ街の殺人』を模した状況下で、母娘が殺害されたのだ。続いて『落とし穴と振り子』の模倣殺人が。犯人に最も近いところにいるのは彼だ。そう信じるフィールズ刑事から、ポーは捜査の協力を呼びかけられた。だが、その矢先新たな事件が起きてしまう。ポーが愛する女性エミリーが舞踏会の晩に誘拐されたのだ。そして彼につきつけられたのは、「彼女を救いたければ事件について新聞に書け、そうすれば解決のヒントを与える」という犯人からの挑戦状だった……。

監督/ジェームズ・マクティーグ
出演/ジョン・キューザック、ルーク・エヴァンス、アリス・イヴ
配給/ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン 
公開/10月12日(金)丸の内ルーブル他全国ロードショー 
© 2011 Incentive Film Productions, LLC. All rights reserved.

「映画について詳しくはこちら」

  • 推理作家ポーvs.小説模倣犯

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    本作ではポーが探偵役に。
    彼にゲームを挑んできたのは、
    ポーの小説の状況設定を
    模倣した殺人犯だった。
    ポーは亡くなる前、
    数日間の行動が不明で
    文学史上の謎となっている。
    映画はその謎解きにも
    独自の解答を導き出している。

  • 偉大な作品に対するオマージュ

    ミステリーファンなら
    誰もが題名を知っている
    『モルグ街の殺人』に始まり、
    『落とし穴と振り子』
    『赤き死の仮面』などの
    見立てが連続殺人の趣向として
    盛り込まれている。
    圧倒的なアイデア量には
    脱帽するしかない。

  • 息もつかせぬアクションの連続

    連続殺人犯を追う
    ノンストップ・スリラーとしても
    出色の出来。連続殺人犯に
    愛する者を奪われたポーは、
    文字通り命を賭して
    彼女を救おうとする。
    果たして彼は間に合うのか。
    そのサスペンスに
    思わず見入ってしまう。

多くのクリエーターに影響を与えたポー

1809年に生まれたポーは、10代後半から創作を始め多くの小説や詩を書いた。その中には世界初のミステリー『モルグ街の殺人』があり、SFの原点といえる小説も著している。彼の作品を愛したのは、江戸川乱歩(ポーの名のもじりだ)やコナン・ドイルなどのミステリー作家や同時代のジュール・ヴェルヌやH・G・ウェルズなどのSF作家にとどまらず、画家のマネや音楽家のドビュッシー、ラフマニノフ、映画監督のティム・バートン、マンガ家の萩尾望都など、数多のクリエーターたち。彼らの作品にもポーの影響が見てとれる。
 

ポーの著作に触れてみよう

『モルグ街の殺人・黄金虫 ―ポー短編集II ミステリ編―』

エドガー・アラン・ポー:著、巽 孝之:訳/新潮文庫

恐ろしい金切り声が立て続けに聞こえた屋敷で、母娘の惨殺体が見つかった。だが、その部屋は内側から施錠されていたのだ――あまりにも有名な『モルグ街の殺人』をはじめ『盗まれた手紙』『おまえが犯人だ』など巨匠が手がけたミステリー短編の数々を収めた作品集。

『黒猫・アッシャー家の崩壊 ―ポー短編集I ゴシック編―』

エドガー・アラン・ポー:著、巽 孝之:訳/新潮文庫

“赤き死”なる疫病が国を蝕み、国王プロスペローは自らの城館に籠もって隠遁生活を送っていた。彼が仮面舞踏会を催したある日、その偽りの平和に終わりがやってくる――恐怖に満ちた『赤き死の仮面』など、作家の陰鬱な内面を写し出した6つの短編を収める。