福原愛ちゃんも魅了される“骨フェチ”の世界

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26

 先日『おしゃれイズム』(日本テレビ)に出演した卓球の福原愛が、意外な一面を明かした。なんでも「骨フェチ」であるというのだ。

コーチによれば、愛ちゃんは「トレーニングジムにある骨格模型を見て、いつもこの骨のこの部分のカーブがイイと言って骨を撫でています。病院でも自分のレントゲン画像の骨を見て惚れ惚れしています」とのこと。骨が好きな理由について問われると、愛ちゃんは「すごい少ない構造で支えてくれてるんだなって」「一切の無駄がなくて、シューッとしてて、真っ白で、キレイじゃないですか」。スタジオに用意された骨格模型にも興奮し、いちばん好きな骨の部位は腕と太腿と無邪気に語るも、MCの上田晋也に「全然理解できねぇ!」と激しくツッコまれていた。しかし、そんな言葉もまったく意に介さず「逆に脊髄の部分はあんまり好きじゃない。ゴチャゴチャしてて」と、骨フェチぶりを見せつけていた。

じつは愛ちゃんのような骨フェチは、男女問わず意外と人口が多いらしい。「骨が浮き出たくるぶしがセクシー」「やっぱりくっきりした鎖骨がいちばん!」といった“肉の下の骨”にグッとくるという人から、「骨そのものの美しさ」を挙げる人まで、そのポイントはさまざまなよう。そこで今回は、愛ちゃんをはじめとする骨フェチのみなさんに、骨の髄から楽しめる骨フェチ本を紹介したい。

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まず、外せないのは、魚類に両生類、両生類、哺乳類などの骨格標本が155点も収められた写真集『BONES―動物の骨格と機能美』(湯沢英治、東野晃典:著、遠藤秀紀:監修/早川書房)。骨に興味がない人でも思わずため息を漏らしてしまいそうなほどの美しさに加えて、いかに動物の骨が機能美を備えているかが解説されているので、フェチの階段を登るための入門書としてもオススメだ。

上級者の方々には、アメリカのミステリー作家、アーロン・エルキンズの『古い骨』(早川書房)をはじめとする“スケルトン(=骸骨)探偵”ことギデオン・オリヴァー教授シリーズを。人類学者である主人公が次々と舞い込む骨の分析から事件を解決に導く姿は、骨フェチを通り越して骨マニアの域。これを読めば、愛ちゃんも“名骨探偵”を目指してしまうかも!?

また、骨フェチの生き様がよくわかるのは、『骨の学校―ぼくらの骨格標本のつくり方』(盛口 満、安田 守:著/木魂社)。埼玉県にある自由の森学園中・高等学校を舞台にしたこの本は、動物の骨格標本づくりに取りつかれた著者である先生ふたりと、そのもとに吸い寄せられるように集った生徒たちの15年間の記録だ。理科準備室がいつのまにか骨部屋と化すほどに、みんなが魅了される骨の力。本書では、写真家・星野道夫の「骨を見ていると、ある種の平衡感覚を得ることができた。生命の意味をこれほど深く問いかけてくるものはないような気がした。そして何より骨は美しかった。」という言葉に触れた上で、「(骨を通して)生物のいろんな意味での“生きている”ということが見えてくる」と、骨に惹きつけられる理由を述べている。

骨の存在は死を示すが、同時にそこから感じられる生の意味。グロテスクな趣味として捉えられることもある骨フェチだが、その真髄は思いのほか奥深いものなのかもしれない。