進化する表現手法 多様化するWeb コミックの最前線

更新日:2012/10/15

 自分の描いた漫画を、インターネットに公開する。
かつてなら、自分のホームページに投稿したり、画像掲示板で共有したりという方法がメインだったが、電子書籍という言葉が浸透して以降、その公開方法や表現手法も実に多様化しはじめた。

 例えば、ブックレビューサイトのブクログが運営する「パブー」というサービスでは、誰もが気軽に電子書籍をつくり、販売することができるため、現在は、2,000件以上の漫画作品が投稿されており、有料作品も、無料作品も手軽に見ることができる。

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 また、検索サイトの「NAVER」では、情報を一つのページにまとめて共有する機能を応用して、自身の作品を投稿することができる。iPhoneアプリ「NAVER Webtoons」では、韓国から投稿された作品が、翻訳されて読むことができるようになっているなど、もはや国を超えてWeb コミックの作品を堪能することも可能だ。

 さらに、動画投稿サイトとして有名なニコニコ動画でも、現在は「ニコニコ静画」という名前で自身の制作した作品を公開することができる。ニコニコ動画特有のコメント機能も搭載されており、ページをめくりながら、その場で他の人たちのコメントも読むことができるようになっている。

 そのほか、これらのような既存のプラットホームを応用せず、直接自分の描いたWebコミックをそのままスマートフォンアプリ化して公開するという方法も徐々に見られるようになってきた。公開するまでには、まだ敷居は高いものの、読む側が気軽に手に取れることが何よりの利点といえるだろう。

 以下は、そんな誰もがつくれるようになったWebコミックの中から気になる作品をいくつかピックアップ。それぞれのWebコミックがどんなスタイルで公開されているのかにも注目しながら読んでみてほしい。

「天竺には行きたくない!」とワガママばかりをいう三蔵を中心に、クールな沙悟浄、おてんば娘の八戒、天然系の悟空など、『西遊記』のキャラクターを現在の女子として描いたドタバタコメディ。縦スクロールで全編切れ目なく、まるでアニメを見ているかのように読むことができる工夫されており、Webコミックならではの読み方も体感することができる。著者の萱島雄太氏は、月刊COMICリュウ 第11回龍神賞「安彦良和賞」を受賞するなど、今注目の漫画家だ。

相手の考えていることが聞こえてくるという能力など、様々な超能力をもった通称「ラッキーボーイ」の主人公の周囲で起こる顛末を描く学園物語。∞JACOBIAN氏が趣味で描いたという漫画を、親友であるKAZUYA KAMIOKA氏がそのままスマートフォンアプリ化したという作品で、気軽にアプリとしてダウンロードして読むことができる。

「NAVER」で公開された韓国のWebコミックで、実話を元にしたというホラー作品。夜道を歩いていると、汚れたピンクのパジャマを着た関節がおかしく曲がっている女性に出会い・・・という内容だが、その絵柄とストーリーもさることながら、JavaScript(ジャバスクリプト)によって様々な仕掛けが漫画内に仕組まれており、スクロールするのが怖くなるという体験をすることができるだろう。

『東京トイボックス』で有名な漫画家うめ氏のパブーで公開された漫画。iPhoneアプリ化を予定していた作品だったが、そのストーリーがあまりにもスティーブ・ジョブズの半生を彷彿とさせることから、Appleの審査が通らなかったといういわくつきの作品。著者曰く『Appleの担当者には「リアルAppleストーリー、リアルAppleイメージだからダメ!」とリジェクト理由を説明されました。やった!ということは、リアルさは、Appleのお墨付き!!』とのこと。

ニコニコ動画にて、自作ゲームや自作漫画を動画にして公開していたルーツ氏の漫画作品。毒舌のみっちょんとボケ担当のサチ、腹黒い八千穂に、なぜか頭に矢がささった楓による学園日常コメディ。この作品をもとに自分でアニメまで制作し、動画として公開するにまで至った。現在原作を担当した「てーきゅう」がアニメ化し、放映されている。

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