男なのに“桃”? 松坂桃李はキラキラネームなのか

社会

2012/10/17

 大好評のうちに終了したNHKの朝ドラ『梅ちゃん先生』。そのなかでヒロイン・梅ちゃんの幼なじみで夫となる信郎を演じ、一気にファン層を拡大させたのが、松坂桃李だ。現在公開中の映画『ツナグ』に、12月公開の『今日、恋をはじめます』、そして来年には実写版『ガッチャマン』も控え、主演作が目白押し状態。いまもっとも脚光を浴びている俳優のひとりである。

 だが、人気が高まるにつれ、「最初は名前を読めなかった」「どうして男なのに名前に“桃”が入っているの?」など、その珍しい名前も話題に。「もしかして、最近流行りのキラキラネームなのでは」という声もささやかれているのだ。

 しかし、本人のブログを読むと、桃李という名前は、どうやら中国のことわざから命名されたらしい。松坂の解説によれば、
「“桃李不言下自成蹊”(とうりものいわざれども、したおのづからこみちをなす) これは、中国の歴史家司馬遷の“史記”に書かれた言葉で“桃や李(すもも)は何も言わないけれど、花や実にひかれて人が集まり、その下には自然に小道ができる。”つまり、桃や李は人格のある人のたとえで、人格者には、その徳を慕って人々が集まってくる というような意味です。」
という。松坂の父は「“徳のある誰からも慕われる人”になって欲しい」という思いを込めて、このことわざから桃李と名付けたとのこと。さらに、母上は『古今著聞集』に登場する「桜梅桃李」ということわざから、「桜は桜、梅は梅、桃は桃、李は李 桜は梅にはなれないし、桃は李にはなれない みんなそれぞれ良いところがあるのだから「自分らしさを大切に」育って欲しい」と願ったそう。キラキラネームというよりも、キラキラと輝くように美しい、愛情たっぷりのとても含蓄のある名前であるようだ。

 それにしても、司馬遷の『史記』は教科書にも登場する超有名な中国の歴史書ではあるが、岩波文庫版の『史記列伝』は全5巻、徳間文庫版は全7巻、ちくま学芸文庫版はなんと全8巻にもおよぶ“超大作”。読み始めたものの挫折してしまった……という人も多いのではないだろうか。

 そんな人にオススメしたいのが、『知識ゼロからの史記入門』(渡辺精一:監修、横山光輝:著/幻冬舎)だ。入り乱れた人間関係を章ごとに人物相関図にまとめ、さらに複雑極まりない覇権争いをわかりやすく解説。『史記』の副読本としてはもちろんのこと、この1冊を読んでも「そうだったのか!」と納得すること間違いなしである。

 また、この本でもイラストとして引用されている横山光輝のマンガ作品『史記』(小学館)は、歴史モノははじめてという人でも入りやすいはず。教科書では見えなかった司馬遷の人となりや中国における興亡の歴史がリアルに感じられるはずだ。

 ちなみに松坂によれば、「“桃李”(とうり)を“とおり”と読ませたのは、自分たちで息子の名前を考えたという両親なりのこだわりみたいです。」という。そもそも『史記』は、父の志しを引き継いで司馬遷が編纂したもの。その書物から、父と母の願いが込められた名前を授けられるとは、なんともロマンティックなエピソードではないか。ぜひファンの方々も、名前の由来同様に壮大でロマンあふれる『史記』の世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。