気になる大賞はどの作品に!?「2022年本屋大賞」ノミネート10作品発表!

文芸・カルチャー

公開日:2022/1/20

2022年1月20日(木)、全国の書店員が選んだ一番売りたい本「2022年本屋大賞」のノミネート作品が発表された。大賞の発表は、4月6日(水)。

2022年本屋大賞

今年の「2022年本屋大賞」は全国の483書店、書店員627人の投票によりノミネート作品を選出。ノミネートされたのは以下の10作品だ。

2022年本屋大賞ノミネート10作(作品名五十音順)

『赤と青とエスキース』(青山美智子/PHP研究所)

『赤と青とエスキース』(青山美智子/PHP研究所)
『赤と青とエスキース』(青山美智子/PHP研究所)

【あらすじ】
2021年本屋大賞2位『お探し物は図書室まで』の著者、新境地にして勝負作! メルボルンの若手画家が描いた1枚の「絵画(エスキース)」。日本へ渡って30数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。2度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。

【プロフィール】
青山美智子(あおやま・みちこ)●1970年生まれ、愛知県出身。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国、上京。出版社で雑誌編集者を経て執筆活動に入る。
第28回パレットノベル大賞佳作受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が第1回宮崎本大賞を受賞。『お探し物は図書室まで』が2021年本屋大賞2位に選ばれる。他の著書に『猫のお告げは樹の下で』『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』など。

▶【本書のレビューはこちら】『お探し物は図書室まで』著者新境地! 大きな仕掛けは圧巻! 絵画をめぐる二度読み必至の連作短編集

 

『硝子の塔の殺人』(知念実希人/実業之日本社)

『硝子の塔の殺人』(知念実希人/実業之日本社)
『硝子の塔の殺人』(知念実希人/実業之日本社)

【あらすじ】
雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。
この館で次々と惨劇が起こる。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。
さらに、血文字で記された十三年前の事件……。謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
散りばめられた伏線、読者への挑戦状、圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。

【プロフィール】
知念実希人(ちねん・みきと)●1978年、沖縄県生まれ。東京都在住。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『レゾン・デートル』で受賞。12年、同作を改題、『誰がための刃』で作家デビュー(19年『レゾンデートル』として文庫化)。「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年『仮面病棟』が啓文堂文庫大賞を受賞、ベストセラーに。『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi(上・下)』で、18年、19年、20年本屋大賞連続ノミネート。『優しい死神の飼い方』『時限病棟』『リアルフェイス』『レフトハンド・ブラザーフッド』『誘拐遊戯』『十字架のカルテ』『傷痕のメッセージ』など著書多数。今もっとも多くの読者に支持される、最注目のミステリー作家。

▶【本書のレビューはこちら】奇妙な館、密室殺人、読者への挑戦状──。知念実希人の本格ミステリ愛爆発、エッジの効いた超大作が誕生!

 

『黒牢城』(米澤穂信/KADOKAWA)

『黒牢城』(米澤穂信/KADOKAWA)
『黒牢城』(米澤穂信/KADOKAWA)

【あらすじ】
本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。『満願』『王とサーカス』の著者が辿り着いた、ミステリの精髄と歴史小説の王道。

【プロフィール】
米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)●1978年岐阜県生まれ。2001年、『氷菓』で第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。11年『折れた竜骨』で日本推理作家協会賞、14年『満願』で山本周五郎賞を受賞。『満願』は同年の年間ミステリランキングで三冠をとるなど、話題を呼んだ。近著に『王とサーカス』『真実の10メートル手前』『いまさら翼といわれても』『Iの悲劇』『本と鍵の季節』『巴里マカロンの謎』などがある。

 

『残月記』(小田雅久仁/双葉社)

『残月記』(小田雅久仁/双葉社)
『残月記』(小田雅久仁/双葉社)

【あらすじ】
近未来の日本、悪名高き独裁政治下。
世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。
「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。
足を踏み入れたら最後、イメージの渦に吞み込まれ、もう現実には戻れない――。

【プロフィール】
小田雅久仁(おだ・まさくに)●1974年宮城県生まれ。関西大学法学部政治学科卒業。
2009年『増大派に告ぐ』で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、作家デビュー。
13年、受賞後第一作の『本にだって雄と雌があります』で第3回Twitter文学賞国内編第1位。
本書は9年ぶりとなる待望の新刊。

▶【本書のレビューはこちら】現実とは異なる月が輝く異世界で、「生きられるかぎり生きるのだ」の声が轟く!――小田雅久仁『残月記』

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『スモールワールズ』(一穂ミチ/講談社)

『スモールワールズ』(一穂ミチ/講談社)
『スモールワールズ』(一穂ミチ/講談社)

【あらすじ】
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。

【プロフィール】
一穂ミチ(いちほ・みち)●2008年『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー。劇場版アニメ化もされ話題の『イエスかノーか半分か』など著作多数。

▶【本書のレビューはこちら】ここに描き尽くされた喜怒哀楽は、あなたの生きる糧となる。一穂ミチ連作集『スモールワールズ』

▶【本書のインタビューはこちら】「すごい才能が現れた!!」書店員の熱い支持を受ける連作集『スモールワールズ』の誕生経緯と登場人物の魅力/一穂ミチロングインタビュー

 

『正欲』(朝井リョウ/新潮社)

『正欲』(朝井リョウ/新潮社)
『正欲』(朝井リョウ/新潮社)

【あらすじ】
あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ。

息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づいた女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。

しかしその繋がりは、”多様性を尊重する時代”にとって、
ひどく不都合なものだった――。

「自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな」

これは共感を呼ぶ傑作か?
目を背けたくなる問題作か?

【プロフィール】
朝井リョウ(あさい・りょう)●1989年、岐阜県生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。
2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞受賞。受賞作がベストセラーになり、現役大学生作家として注目される。男子チアリーディングチームを取材した書下ろし長編『チア男子!!』(第3回高校生が選ぶ天竜文学賞受賞)『星やどりの声』『もういちど生まれる』(2012年下半期直木賞候補)、『少女は卒業しない』などの小説を在学中に刊行。
2012年春、大学を卒業して就職、大学時代の体験を綴ったエッセイ集『学生時代にやらなくてもいい20のこと』を刊行。2013年1月、『何者』で第148回直木賞を受賞。

▶【本書のレビューはこちら】共感を呼ぶ傑作か? 問題作か? 「多様性」を礼賛する現代人の残酷さを暴く朝井リョウ最新作『正欲』

 

『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬/早川書房)

『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬/早川書房)
『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬/早川書房)

【あらすじ】
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?

【プロフィール】
逢坂冬馬(あいさか・とうま)●1985年生まれ。明治学院大学国際学部国際学科卒。本書で、第11回アガサ・クリスティー賞を受賞してデビュー。埼玉県在住。

▶【本書のインタビューはこちら】史上初、選考委員全員が5点満点! アガサ・クリスティー賞大賞受賞作『同志少女よ、敵を撃て』。女性狙撃小隊の生と死の物語

 

『星を掬う』(町田そのこ/中央公論新社)

『星を掬う』(町田そのこ/中央公論新社)
『星を掬う』(町田そのこ/中央公論新社)

【あらすじ】
小学1年の時の夏休み、母と二人で旅をした。その後、私は、母に捨てられた――。
ラジオ番組の賞金ほしさに、ある夏の思い出を投稿した千鶴。
それを聞いて連絡してきたのは、自分を捨てた母の「娘」だと名乗る恵真だった。
この後、母・聖子と再会し同居することになった千鶴だが、記憶と全く違う母の姿を見ることになって――。

【プロフィール】
町田そのこ(まちだ・そのこ)●1980年生まれ。福岡県在住。 「カメルーンの青い魚」で、第十五回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に『ぎょらん』『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―』(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)がある。

▶【本書のインタビューはこちら】痛みを理由にするのは楽かもしれない。でもその先へ――すれ違う母娘の物語『星を掬う』町田そのこインタビュー

 

『夜が明ける』(西加奈子/新潮社)

『夜が明ける』(西加奈子/新潮社)
『夜が明ける』(西加奈子/新潮社)

【あらすじ】
15歳の時、高校で「俺」は身長191センチのアキと出会った。普通の家庭で育った「俺」と、母親にネグレクトされていた吃音のアキは、共有できることなんて何一つないのに、互いにかけがえのない存在になっていった。大学卒業後、「俺」はテレビ制作会社に就職し、アキは劇団に所属する。しかし、焦がれて飛び込んだ世界は理不尽に満ちていて、俺たちは少しずつ、心も身体も、壊していった…。思春期から33歳になるまでの二人の友情と成長を描きながら、人間の哀しさや弱さ、そして生きていくことの奇跡を描く。

【プロフィール】
西加奈子(にし・かなこ)●1977(昭和52)年、 イランのテヘラン生れ。 エジプトのカイロ、 大阪で育つ。 2004(平成16)年に『あおい』でデビュー。 翌年、 1 匹の犬と5人の家族の暮らしを描いた『さくら』を発表、 ベストセラーに。 2007年『通天閣』で織田作之助賞を受賞。 2013年『ふくわらい』で河合隼雄物語賞受賞。 15年に『サラバ! 』で直木賞を受賞。 ほか著書に『さくら』『円卓』『漁港の肉子ちゃん』『ふる』『まく子』『i』『おまじない』など多数。

▶【本書のレビューはこちら】西加奈子が悩み苦しみ、全力で書き尽くした救済と再生の物語『夜が明ける』

 

『六人の嘘つきな大学生』(浅倉秋成/KADOKAWA)

『六人の嘘つきな大学生』(浅倉秋成/KADOKAWA)
『六人の嘘つきな大学生』(浅倉秋成/KADOKAWA)

【あらすじ】
成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

【プロフィール】
浅倉秋成(あさくら・あきなり)●1989年生まれ、小説家。関東在住。第十三回講談社BOX新人賞Powersを『ノワール・レヴナント』で受賞しデビュー。その他の著書に『フラッガーの方程式』『失恋覚悟のラウンドアバウト』など。

▶【本書のレビューはこちら】「犯人」が死んだときすべての動機が明らかに…就活を舞台に繰り広げられる究極の心理戦『六人の嘘つきな大学生』

 気になる大賞発表は4月6日(水)。ノミネート作を読みながら、自分なりの大賞予想をしてみては?

■本屋大賞公式サイト

本屋大賞公式サイト ▶https://www.hontai.or.jp/