『大奥』よしながふみの描く、女たちのしなやかな生き様

マンガ・アニメ

2012/10/19

 この秋実写化される男女逆転『大奥』やドラマ化された『西洋菓子骨董店』などで知られるマンガ家・よしながふみ。もともとBL(ボーイズラブ)を主戦場としていたよしながふみが、初めて「女」を真正面から描いた記念碑的な作品が、連作コミック『愛すべき娘たち』。母と娘、母と祖母、女友達……さまざまな“女”の愛について、丁寧に、そして深く切り込んでいる作品だ。

 ――連作形式の全5話に登場するのは、さまざまな年齢で、さまざまな職業の、さまざまな恋をする女たち。母、友人、恋人……クモの巣のように張り巡らされた人と人との関係性の中で、女たちはいかに生きるのか。
 第1話と最終話で主に如月家の母子関係を描く本作は、そこから社会全般へと舞台を広げていく。確かに母親の影響力は絶大ではあるが、やがて、自分を縛りつけるのはなにも母親だけではないことを、娘たちは知ることだろう。
 主人公・雪子から広がる人間関係の網目は、そのまま「社会」という得体の知れない存在のミニチュアである。わたしたちを縛りつけるものに、わたしたちはいかにして立ち向かうのか? その態度こそが生き様の違いであり、そのサンプルの数々を鮮やかに描いて見せたのが、『愛すべき娘たち』というマンガであるのだ。――取材・文=小田真琴

ダ・ヴィンチ』11月号では、同作をはじめとするよしながふみ作品を徹底分析。記事では、複雑に絡み合う同作の人物相関図や、関連して「女」を描き、その葛藤や人生を抉り出すおすすめコミックも紹介している。

ダ・ヴィンチ11月号特集「よしながふみ 愛がなければ…」より)