LiLiCoも太鼓判! 今大注目の北欧ミステリーとは

文芸・カルチャー

2012/10/19

  3部作すべてが上下巻という大作にもかかわらず120万部超えを果たした、『ミレニアム』。昨年の文庫版刊行と実写映画化以来、いまだに部数を伸ばし続ける、北欧ミステリーの魅力を知らしめた記念碑的作品だ。

 アメリカやイギリスの作品に比べると北欧ミステリーはマイナーな存在で、しかも著者のスティーグ・ラーソンはまったくの無名。早川書房では、世界的なブームを迎える前に版権を獲得。邦訳出版時には大規模なキャンペーンを行い、見事日本でもヒットさせた。『ダ・ヴィンチ』11月号では、そんな今大注目の北欧ミステリーを特集している。

 「人口約900万人のスウェーデンで270万部以上、フランスでも話題になっている『ミレニアム』という作品の情報が独自ルートで入ってきたんです。早速取り寄せてみると、ミステリーのあらゆる要素が盛り込まれている文句なしの作品。日本でも確実にウケると、すぐに版権交渉を始めました」と語るのは早川書房の松本孝さん。

 『ミレニアム』の前代未聞の大成功により、他の出版社でも北欧ミステリーの刊行が活発化。カミラ・レックバリの「エリカ&パトリック事件簿」シリーズ(集英社文庫)、アーナルデュル・インドリダソンの『湿地』(東京創元社)など次々に出版される。

 「北欧はもともと優れたミステリー作品を輩出しています。いい意味で商業主義に染まっておらず、時間をかけてつくりこまれている作品が目立つ。人と土地の結びつきの強さも特徴で、人物や人間関係、地域や社会とのかかわりが丁寧に描かれている。ミステリーファンのみならず、日本の読書家を十分に満足させる作品は数多い」と松木さん。北欧にはミステリー通の読者が多く、著者と読者の距離が近いので、作家の筆力が磨かれる土壌があるのだ。

 また、TBS『王様のブランチ』などに出演する映画コメンテーターであり、スウェーデン人の父をもつLiLiCoさんは北欧とミステリーの親和性についてコラムでこう寄稿している。
 「スウェーデンミステリーと最近日本でもよく耳にしますが、スウェーデン育ちの私たちにとってミステリーは子供の頃から自然と慣れ親しんでいるものなのです。漫画を卒業する小学校の頃、先生が読み聞かせ、先輩に勧められる本はミステリーでした。子供向けの探偵シリーズが大人気で、私も本好きの母の誕生日にミステリー小説を書いてプレゼントしたほど。漫画からいきなり厚いミステリーの本を渡されるというのは、日本人から見たら不思議かも。

 白夜のイメージがありますが、夏以外はずっと暗い。長い冬を越すには、寒さから逃げるようにこだわりのインテリアの家で、ゆっくりと本を楽しむ。長く楽しむために物語を深く描き、興味を継続させるためにまた長くなる。ヒットした『ミレニアム』のような作品はスウェーデンの自然の環境が生み出した名作とも言えます。

 書店にはまだ翻訳されていない人気の本が棚にずらりと並んでいました。今後も北欧ミステリーから目が離せません!」

取材・文=東海左由留(SCRIVA) 
ダ・ヴィンチ11月号「文庫ダ・ヴィンチ」より)