「モテない女=喪女」が主役の時代到来!

マンガ

更新日:2012/11/30

 モテない男という意味の喪男から派生してできた喪女=モテない女。そんな彼女たちを主役にしたマンガが人気を集めているようだ。喪女マンガの代表作と言えば、まず『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』(谷川ニコ/スクウェア・エニックス)。この作品における喪女の定義は、「男性との交際経験が皆無」で、「告白されたことがない人」。そして「純潔である事」だそう。

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 主人公の黒木智子(通称:もこっち)も、当然喪女だ。髪の毛はいつもボサボサ。寝不足のせいで目は濁っており、常に目の下にはクマがあるような女の子。極度の人見知りで恥ずかしがり屋なので、クラスメイトとはほとんど会話ができない。体育の時間にペアやグループを作るときはいつもあぶれてしまうので保健室に避難するし、一緒に花火大会に行ってくれる友達もいないので、「アイスあげるから花火やってる私を見てて」と弟に命令し、ひとりで花火をするのだ。

 さらに『空が灰色だから』(阿部共実/秋田書店)にもたくさんの喪女が出てくる。子供にさえあいさつできない人見知りの食器屋店員・真門さんや極度の恥ずかしがりで人を避けてきた19歳の宇佐美さん。モテたい一心で新発売の限定レアものワンピをゲットするため、せっかく大学で仲良くなりかけていた友達に街中で土下座してお金を借りたり、高校時代に憧れていた男の子に食事に誘われても断って一直線に突っ走る女子大生。さらに、自分の好きな人が幼馴染と過ごしてきた過去を影で見ていて、都合良く自分と彼との記憶に塗り替えてしまう強者まで登場。

 なんだか見ているだけで悲しくなってくるが、彼女たちには陰で健気に努力するという素敵な魅力がある。例えば、テレビを見ていて「無表情キャラってかわいいな」と思ったもこっちは、無表情の無口キャラは人気もあるし、自分にはあっているんじゃないかと1日無表情の無口キャラで生活してみる。他にも人と話す練習をするため、弟にトークトレーニングに付き合ってもらったり、乙女ゲーム内で50年間女子高生として過ごし、100人のいろんなタイプの男と付き合ってみたり、おしゃれやモテについてもネットで情報収集したり……かなりの努力家なのだ。そして、先生と挨拶できたときには「やったー!! 普通にもの凄く自然に人と会話できたー コンビニでアイス買って帰るー!!」と無邪気な一面も見せる。が、ほとんどが成果は出ず非リア充のままというところが、また魅力なのだが……。

 『空が灰色だから』の真門さんも、家で1日1000回「おはようございます」と言う挨拶トレーニングを朝昼晩毎日続け、どもりながらでもなんとか挨拶できるようになる。宇佐美さんなんて尋常じゃないくらい恥ずかしいことをすれば、恥ずかしがらずに人と会話できるようになるはず! と考え、バニーガールの格好をして「うひょひょひょひょ」と奇声を発しながら深夜徘徊するのだ。

 そんな彼女たちの健気でいじらしい姿を見ているとキュンとくるし、だんだん「自分がなんとかしてあげたい」「力になりたい」という気持ちになってくる。それに、誰とも付き合ったことのない彼女たちと付き合えば、デートに行ったりキスをするのもすべて自分が初めての人になれる。男たちの父性と所有欲をくすぐる喪女には、実はたくさんの魅力が詰まっていたのだ。身近にひとりぼっちでいるような喪女がいるという人は、一度目を向けてみては?