いい人なのに、なぜあの人は修羅場を呼んでしまうのか?

マンガ

更新日:2012/10/23

 さりげなく気を遣ってくれたり、あれもこれもぜーんぶやってくれるような、すっごくいい人って周りにいませんか? “いい人”なのに、なぜか損ばかりしている、果ては修羅場に巻き込まれてしまう……。

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 6巻が9月22日に発売された『しゅらばら!』(岸 杯也:著、プリンプリン:イラスト/メディアファクトリー)の主人公・八木本一大は、“ザ・いい人”な男子高校生。そんな一大にいきなり3人も彼女ができてしまう。クラスメイトで声優として活躍している星川早少女、バイト先のメイド喫茶で働く後輩のお嬢様・天弓院真愛、家が隣同士で幼馴染の氷魚鷹奈の3人から同時に“ニセ彼氏”を頼まれてしまうのだ。ただの“ニセ彼氏”のはずなのに、一大はさまざまな修羅場に巻き込まれていく。一体、彼のどんなところが修羅場を呼んでしまうのだろうか?

 まず、誰にでも優しくて頼まれたら「NO」とは言えないところ。ここがなければ、そもそも3人の女の子から“ニセ彼氏”を頼まれたとしても普通の人なら断るだろう。仮に引き受けたとしても、本当に大切な女の子のお願いだけを叶えるはずだ。しかし「とにかく女子に嫌われたくない」という一心で行動する彼はデートのダブルブッキングもこなし、仕事のために必要と言われてエロ本まで買いに行ってあげるのだ。

 次に、面倒なことを先送りにしてしまうところ。3人との関係はあくまで“ニセ彼氏”なのだから、バレても浮気や三股と責められたり、不誠実な最低ヤローと罵られることもない。それなのに、ニセ彼氏だからとみんなに黙って面倒ごとを避けようとするのだ。さらに最悪なことに、早少女と真愛、鷹奈の3人が親友同士だったのだ。いっそみんなに話したほうが納得してくれるし、後々面倒も少ないはずなのに、彼女たちが自分から他の2人に話さないということは、何か理由があるのでは……? と女の子たちを思いやるフリをして、結局は自分が面倒ごとを避けるための言い訳にしているのだ。その結果、ますます面倒なことになっていくなんて知る由もないのだけれど。

 さらに厄介なのは、何事もやるからには全力で完璧にやり通そうとしてしまうところ。役作りに必要な恋愛感情がどういったものか知りたいという早少女のために学校でいちゃついたり、一緒に帰ったりするのに付き合うのは仕方がないのかもしれない。しかし、お見合いを断るためにニセ彼氏を依頼した真愛や自分に恋心を抱く同性の後輩に諦めさせるために彼氏役を頼んできた鷹奈の場合は、おばさんやその後輩の前で彼氏のフリをすればいいだけ。でも、一大は「俺にできることがあったら言ってくれ。ニセでも彼氏なんだから」と、自らいろいろと引き受けてしまうのだ。デートでも相手を楽しませるためにあれこれ考えてできるだけ本当のデートっぽく振舞ったり、「自分より強い相手としか付き合わない」と言っていた鷹奈のために武道まで習い始める。周りの人を欺くためとはいえ、そこまでするか? というレベルまでとことん付き合ってくれる一大。こんなことをされたら、女の子も少なからず好意があるわけだから勘違いしても仕方ないだろう。