YOASOBI×直木賞作家4人による、豪華コラボ。小説『はじめての』から、島本理生原作「ミスター」を配信リリース

文芸・カルチャー

公開日:2022/2/16

はじめての

 2月16日に、“小説を音楽にするユニット”YOASOBIと、4人の直木賞作家がコラボレーションした、短編4作からなるアンソロジー小説『はじめての』(著:島本理生辻村深月宮部みゆき森絵都/水鈴社)が刊行された。

 本作のモチーフは、「はじめて○○したときに読む物語」。直木賞作家の4人が、それぞれ以下のタイトルで物語を紡いでいく。
「私だけの所有者 <はじめて人を好きになったときに読む物語>」(著:島本理生
「ユーレイ <はじめて家出したときに読む物語>」(著:辻村深月
「色違いのトランプ <はじめて容疑者になったときに読む物語>」(著:宮部みゆき
「ヒカリノタネ <はじめて告白したときに読む物語>」(著:森絵都

 そして、それぞれの小説を原作として、YOASOBIが楽曲を制作。2月16日の小説刊行と同日に配信された第1作は、島本理生氏の小説「私だけの所有者」をもとにした「ミスター」。主人公であるアンドロイド<僕>が、所有者<Mr.ナルセ>に抱いた、名前を知らない<はじめての感情>から綴られる、切なく儚いシティ・ポップに仕上がっている。

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 また、書籍の刊行と「ミスター」の配信リリースにあわせて、『はじめての』プロモーション映像も公開。全国1,000店を超える書店にて放映される。

 楽曲とのコラボレーションによる小説執筆は、作家4氏にとっても「はじめての」試み。本作について、各氏は次のようにコメントを寄せている。

島本理生
初めての挑戦をたくさん詰め込んだら、むしろ自分の原点とも言うべき、好きな人との物語になりました。恋よりも強い絆で結ばれた「私だけの所有者」にこの短編で出会ってください。

辻村深月
人は誰でも、その出会いの前と後で人生が変わってしまうような一生モノの出会いの経験があると思います。その一夜を通じて、前の自分にはもう戻れなくなるような、そんなはじめての家出を書きました。この小説もまた、読む前と読んだ後で誰かの何かが変わると信じて、送り出します。

宮部みゆき
いつも物語をつくる時は、そのイメージに合った音楽を探すようにしています。ぴったりな音楽が見つかれば、その音楽が私を正しい方向に導いてくれるからです。今回はまず物語が先にあり、そこから音楽が誕生するという企画で、私にはまったく新しい経験に、胸が高鳴っています。

森絵都
「はじめての」というお題をいただき、私もはじめての設定にトライしてみました。時空を超える片思い――この物語が、読者の皆さんの過去に灯る大事な瞬間とつながってくれますように。

 一方、直木賞作家4人とのコラボレーションで楽曲を制作したYOASOBIのふたりからのコメントはこちら。

YOASOBI composer Ayase
4作品全て本当に面白くて、読み終えた時、全作品、計4回「めちゃくちゃ面白かった!」と声に出し、原稿の前で拍手をしました。「はじめての」という一つのテーマから生まれた4つの色とりどりな物語が、それぞれ違うゴールへと向かう様に心が震えました。

YOASOBI vocal ikura
はじめて読んだ物語なのに、私の奥底に眠っている記憶が呼び起こされるような体験でした。 4つの物語、4つの世界と出会って生まれたこの感動を、まっすぐに歌に乗せられたらと思います。

 今回公開された「ミスター」を皮切りに、YOASOBIが制作した楽曲は2022年中に順次公開が予定されている。小説と音楽が出会うことで生まれる鮮やかな化学反応に、今後もぜひ注目したい。

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