オタクはみんなアニメショップで働きたい?

マンガ

更新日:2012/11/5

 どうせ働くなら、好きなものに囲まれて働きたい。その思いは、誰もが持っているものだろう。子供が好きだから保育士、お菓子が好きならパティシエ。それがオタクの場合なら、もちろんアニメショップ! オタクにとって、アニメイトやとらのあなのようにマンガからDVD、グッズに至るまで扱えるアニメショップは、まさに夢のような職場のはず。それを裏付けるように、最近アニメショップを舞台にした作品が増えているのだ。

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 たとえば、10月20日に発売された『フロムエース(1)可愛すぎるクラスメイトとバイトするんだけど、何か質問ある?』(尼野ゆたか:著、瑠奈璃亜:イラスト/富士見書房)では、クラスメイトの美少女に弱みを握られた主人公が、強制的にアニメショップで働かされることになる。『となりの柏木さん』(霜月絹鯊/芳文社)の主人公もアニメショップで働いているし、『COMICポラリス』(G-mode)で連載されている『きょうあに 今日からアニメショップ店長の俺と残念な店員たち』(九尾かや/Flex Comix)の主人公は、いきなりアニメショップの店長を任されてしまうのだ。

 たしかに、アニメショップで働けば『となりの柏木さん』の主人公のように、お店で思いがけない人と出会えて友だちになれるかもしれないし、いち早く新刊情報を入手したり、商品をゲットできるのも魅力的かもしれない。でも、いざそうなるとやはり楽しいことばかりではないようだ。実際、すぐにやめてしまう人も多いらしい。

 搬入や返本作業など、思ったよりも肉体労働が多いこの仕事。見た目ではわからないが、実は体育会系の職場なのだ。精神的にもそうだが、それよりも肉体的に耐えられるかのほうが心配な人もいるかもしれない。

 また、『フロムエース』では、CDやDVDなどを担当するメディアコーナーのスタッフが「店員Tの今日のお薦め」というタイトルでお薦め商品について熱く語ったり、お店独自の特典を用意してディスプレイを設置するなど、あらゆる方法で商品をアピールしている。しかし、それだけ苦労して作ったコーナーでも全く売れ行きが伸びず、成果が見えないこともあるのだ。それに、毎日メディアやラノベ、マンガといった部門ごとに売上目標が決まっており、その目標を達成できたかどうかを次の日の朝礼で発表する。そして、もし達成出来ていない部門があれば、そこの担当者が達成できなかった理由や反省点、今後どうしていくかといった具体的な案を述べなければならない。それはたとえアルバイトでも関係ないので、仕事に対するひとりひとりの責任は重大なのだ。

 そして『きょうあに 今日からアニメショップ店長の俺と残念な店員たち』には男の娘のスタッフがいたり、朝番に遅れてくる人や販促用のコスプレに力を入れすぎて大量に経費を使ったりしてしまうスタッフが登場。中でも問題児なのが、そのアニメショップの会長の孫である凛。充郎は、いつも「働きたくない」と言って何かあるとすぐサボろうとする彼をなんとかして働かせなくてはならなくなり、朝から起こしに行って服を着させ、面倒を見るはめになる。ここまで手のかかるスタッフはさすがに雇われないだろうが、コミュニケーションが苦手なオタクスタッフがいる可能性は十分にありえる。長く続けていくには、そんなスタッフとうまくやっていけるかも重要なポイントだろう。

 好きなだけでは続けていくのが難しい仕事だが、自分がおすすめした商品が売れたり、買い物をするお客さんが本当に嬉しそうに商品を買っていく様子や笑顔を見れば、やりがいも出てくる。ただ単に自分が好きというだけでなく、お客さんやスタッフと“好き”を共有できるようになれば楽しみも増えるはずだ。そうやって、仕事をする中で新たな楽しみや喜びを見つけられる職場なら、いつまでだって続けていけるのでは?