中国人より手強い!? インド人ビジネス最強伝説

ビジネス

更新日:2012/11/12

 世界市場において、ますます力を高めている中国。一方で、中国人のハッキリと要求を口にする意思表明の明確さや、ドライで合理的かつ個人主義的な考え方に、ビジネスの現場では戸惑う日本人も多い。しかし、その猪突猛進ぶりでいえば、さらにインパクト大なのはインド人だ。

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 時給70万円(!)というインド人実業家によるビジネス本『大富豪インド人のビリオネア思考』(サチン・チョードリー/フォレスト出版)によれば、インドには“ジュガール”という、「マハラジャの時代から広く知られている問題解決ソリューション」があるらしい。いま、このジュガールが「最先端の成功メソッド」として世界から注目を集めているのだが、その内容がすさまじいのだ。

 たとえば、ジュガールを理解するカギのひとつに、「少ない力で多くの利益を得る」というものがある。例として著者は、“仕事の商談で急いでいるときに、車のガソリンが切れて止まったとしたら、あなたはどうしますか?”と投げかけるのだが、普通に考えれば、先方に電話してスケジュールの調整をお願いするのが一般的ではないだろうか。

 しかし、ジュガール的な発想では、これはあり得ない。“通りかかった車を停めて、ガソリンを分けてもらう”のだというのだ。「んなバカな!」と思った人も多いだろう。でも、これはインド大使館に勤務する著者の友人の実話らしい。「少ない時間で済ませる」「不必要な時間や手間はかけない」「使えるものはなんでも利用する」ことが、ジュガールの精神なのだ。

 逆に言えば、ジュガール的には、あらゆる場面で遠慮したり、慎ましさを美徳とする日本人のパーソナリティはNGだらけ。まずは「出る杭」になることが重要だと述べている。ちなみに著者は、「インド人でありながら」カレーハウスCoCo壱番屋のカレーを週2~3回食するほどのココイチ愛好者らしく、ある日「このカレーの味なら、インドに店を展開しても売れるだろうな」と思い立ち、すぐさまココイチの社長にテレフォン! アポを取り付け、社長との面会では意気投合し、「2013年からは、ビジネスとして本格的に始動していく予定」だそう。「インドで日本のカレーなんて無謀かも」「突然電話するとか迷惑だよな」などと考えてはいけない。とにかく、“いますぐ飛び込む”行動力が大切なのだろう。

 このほかにも、大阪人顔負けの値切り交渉術や、ローコストを実現する発想力など、世界を牽引するインド・パワーの秘密が数多く紹介されている本書。「華僑」と同様に、母国を離れて生活するインド人は「印僑」と呼ばれているが、なんとアメリカに住む印僑の9人に1人は億万長者。印僑のビリオネアは世界の10パーセントを占めるともいわれている。もしもビジネスの現場で世界標準を目指すなら、優柔不断で恥ずかしがりやな日本人マインドは一旦捨てて、このジュガルーンを身に付けてみるのもいいかもしれない。