MFの本田圭佑がなぜFWに? 「0トップ」本田の利点とは

スポーツ

2012/11/13

 ブラジルW杯アジア最終予選のオマーン戦を14日に控えるサッカー日本代表。敵地での厳しい戦いとなるが、勝利すれば本選出場がグッと近づくという大事な試合だ。

 そんな日本代表をめぐってにわかに白熱しているのが、本田圭佑のポジション問題。本来は「トップ下」と呼ばれる攻撃的MF(ミッドフィルダー)の選手である本田を、ゴールに最も近いFW(フォワード)の位置でプレーさせるべきか否かについて、さまざまな意見が飛び交っている。これは元々、南アフリカW杯で成功を収めた“奇策”だったが、10月16日にポーランドで行われたブラジル戦で復活し、「FW本田待望論」が再燃した。

 ザッケローニ監督が用いるのは「4‐2‐3‐1」という布陣で、FWはたったひとり(=1トップ)。ポストプレーに優れた前田遼一やJリーグ得点王の佐藤寿人といった本職のFWがいる中で、なぜMFの本田を使うのか。そこには、どんなメリットが生じるのか。

 この問題を考える上でヒントを与えてくれるのが、『日本サッカーMF論』(藤田俊哉、杉山茂樹/実業之日本社)だ。「近年変化しつつあるMFの役割」について論じた本書によれば、かつては「MF=パスでゲームを組み立てる人」「FW=シュートを決める人」というハッキリした役割分担が存在していたが、戦術レベルが年々向上するにつれ、どのポジションにも多くの役割が求められるようになっているという。FWもMFも「守備・パスワーク・得点」のすべてを担うのが現代サッカーであり、欧州の10年遅れで日本にもこの考えが根づいてきたようだ。

 本職がMFの選手を1トップに起用する戦術は「0トップ」と呼ばれ、かのバルセロナでも使用されるなど、世界のトレンドのひとつとなっている。FWが前線に構えてパスを待つのが従来の1トップのイメージだが、0トップはこれと異なり、FWがMFの位置まで下がってきてパスまわしに参加する。これによって中盤で数的な優位を作ったり、相手ディフェンダー(DF)を混乱させる効果が生じる。パスセンスに長け、フィジカルも強く、おまけに得点能力も高い本田は、この0トップにとてもマッチした選手なのだ。

 また、本田がFWに上がることでトップ下のポジションが空き、そこに香川真司を起用できることもメリットのひとつだ。現在は不慣れな左MFのポジションでもがいている香川を本職のトップ下で使い、日本が誇る2大スターを共存させる。「FW本田待望論」には、そんな願いも込められているはずだ。

 南アフリカW杯での成功を分析した『日本サッカー現場検証 あの0トップを読み解く』(杉山茂樹/実業之日本社)を併せて読めば、「FW本田」という戦術への理解がよりいっそう深まるはず。オマーン戦に備え、日本代表の現在地を読み解いてみては?