期待のミステリー作家の注目作が、異例の全文公開! 怒涛の伏線回収、著者の巧みな“罠”を体感しよう

文芸・カルチャー

公開日:2022/4/26

#真相をお話しします
#真相をお話しします』(結城真一郎/新潮社)

 2022年6月30日(木)に、推理作家・結城真一郎氏の最新作『#真相をお話しします』が発売される。結城氏は同書に収録される短編「#拡散希望」で、「日本推理作家協会賞」の第74回短編部門を受賞。平成生まれの作家による同賞の受賞は初めてということで、ネット上では早くも大きな注目を集めているようだ。

 まずは結城氏の経歴から触れていこう。彼は2018年に『名もなき星の哀歌』で第5回新潮ミステリー大賞を受賞し、2019年に同作でデビュー。2020年に刊行した『プロジェクト・インソムニア』は“新感覚ミステリー”と評されるなど、いま最も勢いのある推理作家だ。

 最新作『#真相をお話しします』は、そんな結城氏が手掛ける珠玉の短編集。

advertisement

家庭教師の派遣サービス業に従事する大学生が、とある家族の異変に気がついて……(「惨者面談」)。

不妊に悩む夫婦がようやく授かった我が子。しかしそこへ「あなたの精子提供によって生まれた子どもです」と名乗る別の〈娘〉が現れたことから、予想外の真実が明らかになっていく(「パンドラ」)。

子どもが4人しかいない島で、僕らはiPhoneを手に入れ「ゆーちゅーばー」になることにした。でも、ある事件を境に島のひとびとがやけによそよそしくなっていって……(「#拡散希望」)

 上記作品を含む全5篇を収録する同書は、まさに現代日本の“いま”と、ミステリーの技巧を融合させた結城氏らしい1冊だろう。

 一足先に同書を読んだという書店員からは、「どの短編も、読んでいて何らかの違和感を感じるはずだ。そしてその違和感は、間違っていない。ただその展開があまりにも想定外、『驚愕』の一言ではとても片づけられない。物語世界が文字通りひっくり返るぞ。これが結城真一郎の本当の凄さだ!――啓文社西条店 三島政幸さん」「注目の逸材・結城真一郎の飛躍が止まらない!『ミステリ』というマジックを使いこなし、驚きも戦慄も感動も自在に紡ぐ鮮やかな手際は、同時にままならない現代の輪郭をもありありと浮かび上げてみせる。優れたミステリが、時代とひとを残酷なまでに映し出す磨き抜かれた鏡となることを証明した、極めつきの傑作集だ。――ときわ書房 本店 宇田川拓也さん」「絶対に何か良くない事が起きると感じつつも、体は“その結末”を求めてしまう。―彼らを侮らないほうが良い― まさにこの言葉に凝縮された、ヒヤリとさせる短編集でした。――紀伊國屋書店仙台店 齊藤一弥さん」といったコメントが寄せられている。

 余談だが、「日本推理作家協会賞」はミステリー界で最も権威ある文学賞のひとつ。短編部門において結城氏は、第2回の山田風太郎氏、第48回の加納朋子氏に次ぎ史上3番目の若さでの受賞となる。選考会で「#拡散希望」は、二転三転するプロットや伏線回収の巧みさ、YouTuberを題材にした、テーマの現代性等が高く評価されたのだという。

 そして2022年4月25日からは、受賞作である「#拡散希望」を全文収録した無料お試し特別版の配信を各電子書籍書店にて開始、新潮社のサイトでも全文の無料公開がはじまった。

●【電子書籍】無料お試し特別版
https://ebook.shinchosha.co.jp/book/E053311/
Kindle 版:https://www.amazon.co.jp/dp/B09YCY982H/

●【新潮社HP】試し読み
https://www.shinchosha.co.jp/book/352234/preview/

 この機会に、結城氏が織りなす新たなミステリーの世界に浸かってみてはいかがだろうか。

あわせて読みたい