本のソムリエ・書店員オススメの“食欲を刺激される小説”

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/26

  毎日膨大な量の本に接し、本の知識なら誰にも負けない“本のソムリエ”としてとっても頼りになる書店員さん。そこで今回は、書店員歴6年、喜久屋書店倉敷店で文芸書を担当している大倉千晶さんに、“食欲を刺激される小説”をセレクトしてもらった。

■『精霊の守り人』 上橋菜穂子/作 二木真希子/絵 偕成社 945円
言わずと知れたファンタジーですが、文化人類学の学者ならではのその土地・民族に合った食事描写がまさに垂涎もの! レシピ本も出るほど。何より世界観が素晴らしいので、ぜひ挿し絵付きでどうぞ!

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■『大きな森の小さな家』 ローラ・インガルス・ワイルダー/作 ガース・ウィリアムズ/絵 恩地三保子/訳 福音館文庫 630円
森で暮らす一家のきらめきに満ちた生活が、幼いローラの視点で語られます。豚のしっぽのあぶり焼き、メイプル・シロップの採り方。小さな頃から変わらずに、心に寄り添ってくれる児童文学の名作。

■『八朔(はっさく)の雪 みをつくし料理帖』 髙田 郁 角川春樹事務所時代小説文庫 580円
読みながら涎と涙が出てしまう、温かい時代小説。お互いを思いやる心が胸に沁みます。作品に登場する料理は自分で作ってから載せるという、著者のこだわりに感服! まさに胃袋をつかまれる小説です。

■『ぼくの小鳥ちゃん』 江國香織 新潮文庫 546円
雪の朝、部屋に舞い込んできた小さな小鳥ちゃん。僕と彼女と小鳥ちゃんの、幸せで切ない冬の日々。りりしくてちょっと生意気で、ラム酒をかけたアイスが好物の小鳥ちゃんがとてもキュート!

■『小泉武夫の美味いもの歳時記』 小泉武夫 日経ビジネス人文庫 700円
春夏秋冬、発酵学者の美味いもの探しの旅は続く! 行間から溢れ出ている、食への飽くなき愛。読書中は脳内が食べ物で埋め尽くされること間違いなし。多用される擬音語が更に食欲をそそります!

ダ・ヴィンチ12月号「本屋さんの時間 本のソムリエ」より)