総合電子書店BookLive! が専用端末を発表、電子書籍業界での位置づけは?

BookLive!

2012/11/9

  11月7日に発表された総合電子書籍ストアBookLive! の専用端末「BookLive! Reader Lideo(リディオ)」。価格は8480円で、11月8日から三省堂書店、11月19日からBookLive! のストアで予約を開始、12月10日より発売される。専用端末はNEC製で6インチのモノクロ電子ペーパーを採用。重量は170g、約4GBの記憶容量を持つ。UQ WiMAXによる通信機能を搭載しており、通信料はBookLive! が負担。PCでの設定や会員登録、通信設定を不要にすることでユーザーの負担を軽減している。

 その仕様の中でも目を引くのは、内蔵メモリを4GBしか持たない点だ。これは日本でも発売となったKindle Fireシリーズや、先日新機種を発表した楽天の、Micro SDカードで32GBまで拡張できるkobo gloに比べるとかなり少ない。会見でBookLive!の淡野社長は「BookLive! のクラウド書庫(My本棚)には無限に本をストックしておける。必要に応じてダウンロードすれば問題ない」と記者の質問に答えたが、それでも1巻40MB以上あるマンガを持ち運ぶには少々心もとない。また、Lideoは自炊したPDFを読むための機能は備えない。自炊した書籍からは書店や版元に利益がもたらされない、とパートナーである書店チェーンの三省堂書店にも配慮した仕様となっていると言えそうだ。

 さらには、WiMAXを標準搭載した点もユニーク。接続のためにSSIDやパスワードなどの設定が必要なWi-Fiに対して、WiMAXのサービスエリアであれば特に何も意識することなくBookLive! にアクセスし、通信量無料で本を購入することができる。

 すでに多くのプラットフォームに対してカタログを提供しているBookLive! にとって、初期設定が不要で、書店でも現金決済が可能なLideoは、ビギナーや高齢者でも使える端末を目指したことが強調されている。比較的容量の小さなメモリを搭載していることからも、Lideoは文芸書を好んで多く読むいわゆる「本読み」のための端末であり、多機能さから生じるわかりにくさを徹底的に排除。この端末に物足りなさを感じるユーザーは、そもそもLideoの想定ユーザーではなく、BookLive! に対応した他の端末を使うべきだとも言えるだろう。

 これらの特徴を見ていくと、「Kindle後」のマーケットの中で、BookLive! とLideoがどのような存在であれば市場を分け合うことができるのか、非常によく考えられた結果生まれたものだということが見えてくる。端的に言えば、それは米国におけるバーンズ・アンド・ノーブルのNookの戦略にとても近い。リアルな書店を持たないアマゾンに対して、書店を言わば「本のショールーム」と位置づけ、そこでしか提供できないサービスを付加価値とするというものだ。

 Kindleはすでにホールセールモデル(小売価格の決定権を出版社ではなくアマゾンが持つ)、KDP(キンドル・ダイレクト・パブリッシング/自費出版サービス)といった機能をほぼフルセットで日本でスタートさせた。BookLive! がLideoで採った手法は、「Kindle後」のマーケットの中での差別化を突き詰めたものだ。少子高齢化が進む一方、欧米に比べて書店数が多い日本においてこの戦略が功を奏するか注目したい。

取材・文=まつもとあつし