あっちゃんもリツイート! ほんとは深い「スヌーピー名言」

文芸・カルチャー

2012/11/14

 「人生ってソフトクリームみたいなもんさ…なめてかかることを学ばないとね!」――このかわいらしくて、含蓄ある言葉の発言者は、チャーリー・ブラウン。アメリカの有名なマンガ『ピーナッツ』に登場する、スヌーピーの飼い主の男の子だ。

 じつは最近、スヌーピーとその仲間たちの“名言”が人気を集めている。先日は、AKB48を卒業した前田敦子が、はじめたばかりのTwitterで『ライナス「ねえ、ジョー、前から訊きたかったんだけど…どうして授業に出ないの?」スヌーピー「授業!? 授業に出たりしたら、成績が落ちるだけさ!」』や、『小さいことは美しい!』というスヌーピーbotの言葉をリツイート。出版界でも、10月23日から全10巻の『スヌーピー全集』(チャールズ・M・シュルツ:著、谷川俊太郎:訳/復刊ドットコム)が復刊され、いま静かに“スヌーピー・ブーム”が起こっているのだ。そこで今回は、全集と同じく谷川俊太郎が訳した人気の名言集『スヌーピーたちの人生案内』、『スヌーピーたちの人生案内2』(チャールズ・M・シュルツ:著、谷川俊太郎:訳/主婦の友社)から、胸にぐっとくるスヌーピーたちの言葉を紹介したい。

 まず、『ピーナッツ』の主人公である前出のチャーリー・ブラウンの言葉から。“人生はなめてかかれ”と大人顔負けの処世訓を披露する彼は、ライナスにこんな言葉を投げかけている。
「さてこれからはね、ライナス、自分で考えるんだ…誰にもアドバイスなんかさせるなよ!」
スヌーピーにはいっこうに名前を覚えてもらえず、「丸頭の男の子」としか認識されていないチャーリー・ブラウンだが、なかなかに強い心をもった、たくましい男児のよう。とくに「心配するのは1回に1日分だけってきめたのさ!」という言葉は、あれこれ悩みが絶えない現代人の気持ちをなぐさめてくれるひとことだ。

 また、名言のなかには、“嘆き”が多いのも気になる点。「人生にはいろんな選択肢があるのに選択できたためしがないんだ!」というライナスのひとことや、リランの「管理職ってのは提案をきこうとしないもんなんだ」、ルーシーの「何もかも間違っているわ! どうやって我慢すればいいの! ますます悪くなるわ! たえまなく悪くなる!」という言葉は、ポジティブ礼賛の自己啓発書にはない、“人生の真実”が詰まっている。ただ励まされるだけではなく、ストレスの緩和にもつながりそうな爽快な言葉があることも、スヌーピーたちの名言の魅力なのかもしれない。

 なかでも、世界の人気者・スヌーピーの言葉は、チャーミングでありながら“深い”。「より良い犬になるように努めると、クッキーひとつおまけにもらえることもある…」「ほんとは何もいうことがないんだったらワンワン吠えたってナンセンスだ」と、あくまで犬目線からの言葉だが、そこには人間にも通じるメッセージがある。スヌーピーに、「もし何かをちゃんとやりたいんなら、自分でやるべきだよ!」なんて言われた日には、背筋もピンと伸びそうだ。

 『スヌーピーたちの人生案内』の巻頭で、谷川が「(作者のシュルツ自身に)悩みに答えを出してやろう、人生とはこういうものだと教えてやろう、というような思い上がりが皆無だったことが、この『人生案内』を温かいものにしていると思います」と述べているように、彼らの言葉には微塵も説教臭さがないことも特筆すべきところ。そう。リランいわく「どうして人生ってなんでも難しいのかな?」というシンプルな疑問を、ユーモアや笑いで包んでいくのが、スヌーピーたちの流儀なのだから。

 人間関係や仕事に少し疲れたときは、ぜひ、スヌーピーたちの肩肘を張らない言葉に目を向けてみてはどうだろうか。