現役女子高生が描いたマンガ『メンヘラちゃん』 琴葉とこインタビュー
更新日:2013/8/6
お互いが分かり合うための架け橋になれば
(ことはとこ)現在18歳の現役高校生。中学生の頃から漫画を描き始め、pixivやホームページといったネットを中心に『メンヘラちゃん』『女装くんと男装ちゃん+α』といった作品を連載し話題に。このたび『メンヘラちゃん』がイースト・プレス社より単行本化された。現在さらなる活躍が期待される漫画家の一人。
――まずは、Web連載からの単行本化おめでとうございます。
琴葉 ありがとうございます!現在、高校3年生で受験勉強中なのですが、在学中に出版できて嬉しかったです…。
元のWeb上で連載しているものを一から全て描きなおすことになって、足掛け二年間ずーっとかほぼ毎日描き直してましたので、ほんと大変でしたね(笑)
中学時代からスケッチブックに描いていた漫画だったし、もちろん出版経験なんてなかったものですから、「え、ネームってこんなに綺麗に描かないといけないの!」とか「え!枠線って定規で引かないとダメなの!」と基礎的な部分から勉強しながら作業していました。おかげで背景の描き込みがよくなったりとか、構図のバリエーションが増えたりしました。もちろん、辛かったですけど、「ここをこう直すと、こんなによくなるんだ」って上達を実感しながら描けました。精神的にも、担当さん二人に保護者のように支えていただいたので、本当に助かりましたね(笑)
――そもそも、どういった経緯でこの作品を描かれたのでしょうか?
琴葉 構想自体は小学校の6年生ごろからありまして、ちょうど久米田康治先生の『かってに改蔵』や『さよなら絶望先生』を読んで、「あ、こんな感じの女の子版があったら面白いな」と思っていました。
そして中学1年生の頃にインターネットでたまたま「メンヘラ」って言葉にひっかかって、ちょっと調べているうちに「これだ!」となり、キャラクターが固まりました。ちょうど作品に着手したのが、中学二年生からで、自分のホームページに漫画を掲載するかたちで連載していました。ちょうど連載が終わったのが中学卒業の頃です。連載当時はお母さんを中心に家族が応援してくれていて、特に母には描いた作品を見せてアドバイスをもらったりもしていたので、描き終わった時に泣いてくれた母の姿は印象にのこってます。
――読者からはどのような反応が返ってきてますか?
琴葉 発売された当初は「メンヘラちゃん買いました!よかったです!」って言葉をTwitterなどでいただいて感無量でしたね。わざわざ私のアカウント宛にファンレターを出したいという方もあらわれて、驚きました(笑)平積みされたのを見て買ってくれた方が、「最初はいろいろ突っ込もうと思ったのに、すごい感動的な話だった!」ってご意見くれたのは、心に残ってます。
――この『メンヘラちゃん』という作品では、メンヘラを重要なキーワードにしている作品ですが、なぜこれを取り上げたのでしょうか?
琴葉 最初はインターネットでちょっと尖ったものを描いてやろうって計算もあったんですけど、自分の周りを見渡した時に、ちょっとしたことで泣いちゃったり、傷ついたりする人たちって結構いることに気づいたんです。普通に暮らしている人はそういう人たちを「なんでこんなことで泣いちゃうの?」「こんなことで傷つくなよ!」って思っているかもしれない。だけど、自分は「メンヘラ」なんてものに関係ないって思っている人でも、いつ誰がなるかわからないし、いつの間にか足を踏み入れちゃっている人だっている。だから、『メンヘラちゃん』を読んで、少しでも「あー自分にもそういうところあるな」とか「メンヘラちゃんの気持ち分かるな」って、思ってくれればいいなという気持ちで描きました。
――たしかに、「メンヘラちゃん」の周りにいる「病弱ちゃん」と「けんこうくん」のお互いを支えあっていこうとする姿勢にそうした想いはあらわれていますね。
琴葉 昔からそうですけれど、私は他人と分かり合えないということが嫌で、少しでもコミュニケーションできればいいなって思うし、一方通行じゃなく、お互いがお互いのことをわかりたいって思う姿勢が大事なんじゃないかって考えています。それがこの本を書くきっかけにもなったし。そのことをこの本を読む人にも理解してもらえたらなと思います。
――ありがとうございました。今後の活躍も楽しみにしています。