2022年上半期1番売れた本『人は話し方が9割』 自分も相手も尊重する「やさしいコミュニケーション」とは?

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公開日:2022/6/13

この記事は2022年6月1日 19時19分の情報です

 重版・増刷されている話題の書籍のニュースを、ダ・ヴィンチWeb編集部がピックアップしてお届け! 今回は『人は話し方が9割』(永松茂久/すばる舎)をご紹介します。

化け活。
人は話し方が9割』(永松茂久/すばる舎)

『人は話し方が9割』が、2022年6月1日に発表された日販(日本出版販売)の2022年上半期ベストセラーランキング(21年11月22日~22年5月21日集計)で、2021年年間に続き2期連続で総合1位、ビジネス書部門でも2020年年間、2021年上半期、2021年年間に続き、4期連続で1位になりました。また、同日トーハンから発表された上半期ベストセラーランキングでも、2021年上半期、2021年年間に続き、3期連続で、ビジネス書部門1位に。

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 たった3坪のたこ焼き屋からスタートし、現在は作家として活動する著者が送り出した、令和のベストセラー&ロングセラー本『人は話し方が9割』。「自分も相手も尊重する、やさしいコミュニケーション本」に、全国老若男女の読者からの反響が止まらず、2022年6月1日現在、30刷105万部を突破しています。

 2期連続での総合1位は、ビジネス書としては異例。ビジネス書の枠を超えて、全国の老若男女の読者に愛読され、広がり続けています。

 本書の特色を一言で言うと、「やさしいコミュニケーション」。

「自分も相手も否定しない」
「うまく話そうとしなくていい」
「苦手な人には、話しかけなくていい」
「正論は『ストレート』ではなく『変化球』で伝える」
「幸せでありますように、と相手の幸せを願いながら話す」

……など、自分の気持ちを大切にしながら、相手の気持ちに寄り添う、互いを尊重し合うコミュニケーションです。

 自分にも相手にも「優しく」、誰でも簡単に「易しく」実践できる。

 そんな「やさしい」内容が、コロナ禍で不安を感じやすいコミュニケーションシーンでの羅針盤となり、多くの読者の心をとらえたのではないでしょうか。

『人は話し方が9割』の一部を公開!

01 話す力は「スキル」より「メンタル」

◆自己肯定感が上がると、話すのはこんなにラクになる

「人前で話した時、急に頭が真っ白になってしまった」
「何を言っているのかわからない、と言われて自信をなくした」
「声が小さい、と言われてどうしていいのかわからなくなった」

 こうした苦い経験が元となって、「自分は話すのが苦手」と思い込んでしまっている人は少なくないでしょう。

 これは、話し方における自己肯定感が失われてしまっている状態。

 あまり知られていませんが、自己肯定感をなくしてしまったメンタルの状態を「自己否定感」と言います。

 健全な自己肯定感を持つことは、自信の源になります。裏を返せば「うまく話せない」「いい人間関係を築けない」は、自己否定感の元にもなりうるのです。

 みなさんもおわかりの通り、本来は一度や二度の失敗で「話すことが苦手」という強迫観念を持つ必要は全くありません。

 しかし「話すことが苦手」と思い込んでいる人の多くは、数少ない失敗や心ない誰かの指摘が原因となって、話すことに苦手意識を持ってしまっています。

 そんな人も、自分をラクに楽しく肯定できれば、確実に話し方はうまくなっていきます。また、人間関係も今よりずっとラクに、良好になっていきます。

◆相手の言葉を、必要以上に重く受け止めない

 先日、こんな相談を受けました。

「知り合いに住んでいるところを聞いたら、『そういうことを聞かれて嫌な気持ちになる人もいるんだから、安易に聞いちゃダメだよ』と言われました。それ以来、誰にも住んでいるところを聞けなくなってしまいました」

 人によって感じ方はそれぞれですから、相手の言い分にも一理あるでしょう。

 見方を変えれば、「プライベートの境界線は人によって違うから、何を言うにも慎重に」と、苦言を呈してくれたとも取れます。

 しかし、一方で、私はこうも思うのです。

 今まで、おそらく何百人と出会ってきた中で、たった1人から言われたことを気にして萎縮してしまうなんて、もったいないな、と。

 ひょっとすると、あなたも一度や二度の言葉の行き違いや感覚のズレによって傷つき、自信を失い、それが元で話すことへの苦手意識が芽生えてしまったのではないでしょうか。

 ここで、私は断言します。

 一度や二度の注意や失敗くらいで、会話を怖がる必要は全くないのです。

「あ、この人はこういう話題は嫌な人なんだな」と受け止め、その人に同じ質問をしなければいいだけの話なのです。

◆話している相手を否定しなければ、相手もあなたを否定しなくなる

 では、過去の苦い経験で失ってしまった自己肯定感を取り戻すには、どうしたらいいのでしょうか。

 話すことを通じて失った自己肯定感は、やはり話すことを通じて取り戻すのが一番です。

 そこでキーワードになるのが、「全肯定」です。

「話している相手を決して否定しない、そしてあなた自身も否定させない」

 ということです。

 つまり、相手との間に「否定のない空間」を作るのです。

 人は、自分を肯定してくれる人を肯定するようにできています。

 そこであなたが相手を否定しなければ、相手もあなたを否定しなくなっていきます。

「相互全肯定」の状態です。

 その体験の中で、自然と自己否定感が薄れ、自己肯定感が高まっていくのです。

 相手を肯定すると同時に、あなた自身が「否定のない空間」に身を置くことが大切なのです。

イラスト・図版:久保久男/朝日メディアインターナショナル

02 普通の人が簡単に話せるようになる「3つのコツ

◆「否定のない空間」に身を置くと誰でも話せるようになる

 私の主催するコミュニティには、3つのルールがあります。

 まずかかげているコンセプトは、「否定のない空間」。

 このコミュニティで、私はたくさんの奇跡を目にしてきました。

「あがり症の人が人前で話せるようになった」
「話し方が苦手だった人が、いつも会場を満席にするセミナー講師になった」
「年収で1200万円を超えるコーチになった」

 中には、出版が決まった人もいます。

 彼らの姿を目にしながらわかったこと。それは、ほとんどの人が、話すのが苦手なのではなく、話せるというメンタル状態に持っていくことが苦手なだけ。

 そこで、普通の人が、簡単に話せるようになる3つのコツをお伝えします。

【コツ1】 否定禁止

 マイナストークで未来を語ると、どんどん現実の未来が暗いものになってしまいます。

 そこで私のコミュニティでは、否定発言をしたら退場していただくルールを作っています。

 会議でよく見かけられる光景ですが、誰かが何かを発言した時に、「そうは言っても」とか「それは、違うだろ」という空気が流れることがあります。

 そういう空気が会議全体を覆ってしまうと、人の潜在能力、つまりパフォーマンスは低下します。そして、誰もが口を閉ざすようになります。

 人は、つい他人が語ることを「できる」「できない」に分類してしまいがちですが、これでは一人ひとりが自由に発言するモチベーションを奪ってしまうのです。

 社会は、学校の◯×テストの場ではありません。大切なのは、意見や感想がどんどん出てくる場にすることです。それにはまず質より数が重要です。数を出してもらうことで、一人ひとりのパフォーマンスが上がることが最重要課題なのです。

 繰り返しますが、大切なのはとにかく発言すること。そこで、前向きであればすべてオッケーというルールをあらかじめ設定しておきます。

 学校教育で植えつけられた「とにかく正解を出さなければいけない」という思い込みを捨て、遠慮なく色んな意見を出してもらうことで、場の空気は前向きになり、人前で話すのがラクになっていきます。

【コツ2】 笑顔でうなずく

 2つめは「うなずきの徹底」です。

 うなずきですから、ただ首を縦に振るだけですが、人間関係において、この習慣を身につけると、かなり役立ちます。

 このうなずき文化が人の心の扉をあけ、安心を生み出していく最高の方法なのです。

 私の会社は、毎日朝礼をしています。

 これは自分にスイッチを入れるという目的もありますが、重要なのはそこではありません。

 ポイントは、「それぞれの言葉環境を変えるため」「それぞれの心の中にあるブロックを外すため」「人を勇気づけるナイスマンを育てるため」の3つです。

 何かを人前で発表する時は、誰でも緊張します。しかし、その中に、うなずきながら聞いてくれる人がいたら、人は自然と話せるようになります。

 何を言ってもうなずいてもらえると、安心するからです。

 そして、その安心感が話す力を引き出します。

 つまり、「ノってくる」のです。

 人間のパフォーマンスは、力んだ時よりリラックスした時のほうが上がります。

 そのため、私の会社、そしてコミュニティではこのうなずきを徹底してもらっています。

【コツ3】 プラストーク

 前向きな話は、人を元気にします。

 逆に、後ろ向き、否定的な話は、自分自身だけでなく、聞く人のエネルギーも下げてしまいます。

 普段、どんな言葉を使っていても、私のコミュニティに来た時だけは、意識してプラストークを徹底するようルール化しています。

「人をほめること」「感動した話をすること」「今の現状を良くしていこうとすること」。

 これらはすべてプラストークです。明るい言葉が明るい空気を作っていきます。

◆過去の傷を癒すと、人は自然と話せるようになる

 先ほども書きましたが、残念ながら私たちの周りは、マイナス言葉ばかり飛び交っています。

 私たちは知らず知らずのうちに、否定的な空気の中に身を置くことが当たり前になってしまっているのです。

 なるべくそうした場所は離れ、先ほどお伝えした3つのコツを意識することです。

 そうすることで、前向きに話すことができるようになり、少しずつ、本来の自分を取り戻していくことができるのです。

 自分自身を全肯定してくれる場所に身を置くこと。

 そうすれば、あなたの過去の傷は知らず知らずのうちに癒されていくのです。

03 話し方が100%うまくなる究極のスキル、教えます

◆「相手の立場に立つ」も練習次第で身につく

「相手の気持ちを考えて話をしよう」

 よく言われる言葉です。この本でも何度も伝えてきました。

 相手の立場を考える話し方ができるかどうかで、あなたの人間性が決まります。

 とはいっても、なかなか相手の立場に立って話すのは難しいことです。

 そこで私が密かにやっているある練習法をお伝えしましょう。

 テレビで謝罪会見が放映されている時、あるいは誰かが重大なミスを犯して大変な時、自分にこんな質問をするのです。

「もし自分がこの人の立場だったらどうするだろう? もしこの人が目の前にいたらどんな声をかけるだろう?」

 この練習を繰り返すと、自然に物事を自分軸からだけでなく、相手軸から見ることができるようになります。

 私たちは普段から、どうしても自分軸で動いてしまいがちです。

 しかし、この意識を少し抑え気味にして、相手軸で話をするようにすると、あなたのファンはどんどん増えていきます。

 そうすることで、あなたの視野、話し方の世界はどんどん広がっていきます。

◆話し方の究極のスキル「幸せでありますように」

 また、今後、あなたが誰かと何かを話す時は、「(相手の方が)幸せでありますように」と祈りながら話すようにしてみてください。

 そうすることで、不思議なことですが話の内容は関係なく、あなたの好意は必ず相手に伝わります。

 そして、愚痴や不平不満などのマイナストークが自然となくなっていきます。

 人には誰しも、話す相手の心を感じ取るセンサーのようなものがあります。

 テクニックだけで人間関係がうまくいくほど、人間というものは簡単ではありません。

 不思議なことですが、うまいとか下手とかは関係なく、話し手の心というのは必ず相手に伝わります。そして、この違いは「フォーユー」なのか「フォーミー」なのか、で変わってくるのです。

 相手のことを思って話していくと、必ず言葉がポンポン出てくるようになります。

 そしていつの間にか悩んでいた相手が元気になり、あなたのことを必要とするようになります。

 するとあなたの周りにたくさんの人が集まるようになり、いつの間にかあなたは充電器のような存在になります。

 最初は、うまくいかないこともあるでしょう。

 しかし相手のことだけ思って話しているうちに、相手が本当に大事にしていることだけを感じ取り、言葉に落としていけるようになります。

「(相手が)幸せでありますように」

 この思いに勝る話し方のスキルは存在しません。

 ぜひ使ってみてください。