人外×少女『魔法使いの嫁』をファンタジーマニアにも初心者にもおすすめしたい理由
『魔法使いの嫁』(ヤマザキコレ/マッグガーデン)
私はあまりファンタジーに明るい方ではない。いや、むしろ苦手だといってもよいかもしれない。小説であれ漫画であれ、ファンタジー作品には海外や空想の世界を舞台にしたものが多く、「人名や地名、呪文の名前などになじみがなく、覚えづらい」「その世界観を理解し、ハマるまでに時間がかかる」というイメージを、勝手に抱いていたためだ。 しかし、この作品にはまいった。冒頭から一気に引き込まれ、ページをめくる手が止まらなかった。
「この作品」とは、新進気鋭の漫画家・ヤマザキコレのファンタジー漫画『魔法使いの嫁』(以下、「まほよめ」)のことである。
主人公・羽鳥智世(チセ)には幼いころから、「他の人には見えないモノ」が視える能力があった。15歳にして、身寄りも生きる希望も失ったチセは、自らを裏オークションに出品。そんな彼女を買ったのは、動物の骨でできた頭部を持つ、ヒトならざる魔法使い・エリアスだった。彼はチセを「弟子」そして「花嫁」として、自然豊かなイングランドの自宅へ招き入れ、魔法使いとしての教育を開始。エリアスとと…