『深夜食堂』著者のデビュー作! 「耳かき」という官能的行為が人に快楽を与え本性をあぶり出す
じつは、耳かき(耳掃除)はほとんど必要ない、ともいわれます。現に海外では耳かきの習慣がない国もあるそうです。そもそも、耳あかというのは、しぜんと耳の外に押し出されるようになっているらしく。耳あかが湿る湿潤気候の日本では、多少は事情が違ってきますが、それでも耳かきは、年に数回でよいといわれています。では、なぜ日本人は、これほどまでに頻回に耳かきをするのか。それは、ひとえに快楽のためであるといわれます。
さて、本作は「耳かき」と「耳かき店」と「耳かきを極めた女性店主」を巡る人間ドラマを描いた、究極の耳かきコミック。前述のとおり、耳かきは人間に快楽を与えます。本作は、耳かき店を訪れた子どもから高齢者までの登場人物たちが、次々と女性店主に耳を委ね、さまざまな快楽に溺れていくさまが官能的に描かれます。
ちなみに、登場人物のセリフによると、耳かきというのは「耳の内側にあたる竹の感触が、丹念に磨かれたツメの先で、指の股のところをコチョコチョとひっかくような感じで、喜びのとり肌を全身にたてる」ほどキモチイイもの。この表現で、耳の奥が痒くなったり、耳かきをした…