「だれかの大切なひと」になるために、必要なこと。『きみはだれかのどうでもいい人』/佐藤日向の#砂糖図書館㊺
人間関係を築くのは、とても難しい。自分の意思を貫き通せば我儘と言われ、相手の意見に合わせれば八方美人と言われる。じゃあ私はどうすればいいんだと悩むこともあったが、そもそも一度私の言動が気になった時点で相手にとって、私が何をしてもとにかく気になる相手になってしまうのだろう。
今回紹介するのは伊藤朱里さんの『きみはだれかのどうでもいい人』という作品だ。本作は県税事務所で働く女性4人の、苦悩や働くことの大変さを濃縮した連続短編集となっている。読んでいる途中も読了後も、羅列されている言葉があまりにも刺さり続けて、とても痛かった。どの登場人物も実際にいそうな人達ばかりで、かつ、自分がこういう風に見えているのかもしれないと思いながら読み進めると、私のこれまでの言動が誤って伝わっていたかもしれないし、反対に私が誤解している可能性だってあると思えた。
どんな職場でも、年齢や立場が違う人と一緒に働かなければならない。そしてそれぞれがこれまでの仕事を通して得た経験値によって、考え方や在り方は変わってくるため、相手に対して「どうしてこれが出来ないんだ」と感じてしまう…