読ませて衝撃を与える、脱・形式美のとんがりマンガ<園子温監督で映画化>
今回ご紹介する『TOKYO TRIBE2』の話をはじめる前に、原点の『TOKYO TRIBE』の方について少し語りたい。2の方が全12巻なのに対して、こちらは1冊のハードカバーとなっている(電子書籍化はされていない)。
作者の井上三太氏が93年に書き下ろした作品だとWikipediaにはあるが、手元の単行本の初版は96年だ。はっきりいって絵は上手とはいえないし、マンガとしての演出が優れているかというと疑問だ。なんだか渋谷駅の落書きが、そのまま動きだしてマンガになったみたいだと思った。だけど、途中まったく手が止まることなく1冊読み終えた。
ストーリーは、シヴヤSARUという不良集団(TRIBEと本作では呼ぶ)とシンヂュクHANDSという集団の抗争劇だ。そこに目新しさはないが、すべてのページが新鮮に見えた。おそらく井上三太氏の持っている文化は、私の知っているものとは全然違うのだろう。
井上三太氏の経歴を見ると、デビューのきっかけはヤングサンデーの新人賞とある。しかもあとがきでは手塚治虫の言葉を引用するなど、硬派な漫画家のようにも思える。だが、『ビー…