罪の感染拡大を一冊にまとめた『ツミデミック』。一穂ミチの描く“犯罪小説集”での「正しさ」とは?
先の見えない禍にのまれ、その中で揉まれるうち、私たちは多分に狂わされた。真面目に暮らしてきたはずなのに、今はこのざま。人生という時間が狂わされたのはもちろんだが、もがき苦しめられ続けるなかで、価値観だって滅茶苦茶だ。特に思うのは、「正しさ…
先の見えない禍にのまれ、その中で揉まれるうち、私たちは多分に狂わされた。真面目に暮らしてきたはずなのに、今はこのざま。人生という時間が狂わされたのはもちろんだが、もがき苦しめられ続けるなかで、価値観だって滅茶苦茶だ。特に思うのは、「正しさ…
“今日も一日よくがんばった自分に、ご褒美の一杯を” 上記のキャッチコピーのもと、2021年に刊行され多くの人に親しまれた『ほろよい読書』の第2弾、『ほろよい読書 おかわり(双葉文庫)』(双葉社)が、新たに上梓された。 バーテンダーに想いを寄せる下戸…
たとえば別れた恋人と、今の自分だったらうまくやれたかもしれないと、想像してみたことはないだろうか。人には、タイミングというものがあって、どんなに相手を愛おしく思っていても、自分の置かれた状況次第で、ちゃんと大切にすることができなくて、遠ざ…
家族という関係のなかで生じる悩みや痛みは、第三者の目に映らないことも少なくない。たとえば、休日のショッピングモールですれ違った幸せそうな親子。彼らを見て、「きっと毎日が穏やかで、幸福の連続なんだろうな」と思ってしまうことがある。しかし、本…
昨年末、錦鯉がM-1グランプリで最年長記録を更新して優勝し、お茶の間が感動に沸き立ったのは記憶に新しい。涙を流しながら、諦めなくてよかったと語る長谷川雅紀氏の姿に勇気をもらった人も多いのではないだろうか。夢を追い続けた彼らは、とにかく眩しかっ…
本屋大賞2022ノミネート! 『雪よ林檎の香のごとく』でデビュー以来、多数の作品を書き続けてきた一穂ミチ氏による、誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作短編集。 《以下の記事は(2021年5月10日)の再配信記事です。掲載してい…
第165回直木賞へのノミネートに続き、第12回山田風太郎賞候補にも選出されるなど話題を集めている小説『スモールワールズ』(一穂ミチ/講談社)。この連作集に収録された短編の中でも人気の1編が、『ブルーピリオド』などの話題作満載の雑誌『アフタヌーン』…
『スモールワールズ』 ●あらすじ● 子供ができないことに悩む主婦と男子高校生、魔王のような強さを持つ姉と再び暮らすことになった弟。初孫を愛する祖母と娘夫婦、加害者と被害者ながら文通を始めた男女。定年間近の父の前に15年ぶりに現れた子。そして、あ…