永瀬正敏「“私は見るのではなく映画の世界に入り込んでいるんです”という視覚障害の方の言葉に、俳優として考えさせられました」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、永瀬正敏さん。深い感動を呼んだ映画『あん』に続き、河瀨直美監督と再びタッグを組んだ映画『光』では、次第に視力を奪われていくカメラマン・中森雅哉を演じた。出演作が100本に迫る全身映画俳優は、今、何を思うのか。
「僕ね、あらためてちゃんと写真をやろうって思ったのって『ダ・ヴィンチ』さんの取材がきっかけだったんですよ」
インタビューした際に、写真にまつわる意外なエピソードを明かしてくれた永瀬さん。
「もう時効だと思うので、正直に言うと、昔、カバーモデルをやらせていただいた時(1994年11月号)に、撮影で使うつもりでいた写真集を忘れて、当時つきあっていた彼女に貸してもらったんです。もちろん、その写真集は僕も好きだったんですけど、本当は別のを持っていこうと思っていたので、撮ってもらっている最中に、ふっと、『これ本当は彼女の物なんだよな』って頭によぎったんです。その時カメラマンの荒木経惟さんに“そうそう、彼女の物を優しく…