ダ・ヴィンチ編集部が選んだ「今月のプラチナ本」は、塩田武士『存在のすべてを』
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年12月号からの転載になります。 『存在のすべてを』 ●あらすじ● 平成3年に神奈川県で起きた二児同時誘拐事件。その30年後、当時事件を担当していた新聞記者の門田は知人の刑事の訃報をきっかけに、誘拐事件の被害男児が…
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年12月号からの転載になります。 『存在のすべてを』 ●あらすじ● 平成3年に神奈川県で起きた二児同時誘拐事件。その30年後、当時事件を担当していた新聞記者の門田は知人の刑事の訃報をきっかけに、誘拐事件の被害男児が…
重厚長大な書物とはこういう本の為にあるような言葉だ。塩田武士『存在のすべてを』(朝日新聞出版)は、上質のミステリ小説でありながら、同時に、ミステリの定石を次々に覆していくような、志の高さと射程の長さが感じられる傑作である。塩田氏の代表作と…
山田風太郎賞受賞作『罪の声』、俳優・大泉洋を当て書きした『騙し絵の牙』、吉川英治文学新人賞受賞作『歪んだ波紋』など話題作を連発し、次々とその映像化が続く人気エンターテインメント作家・塩田武士。その作家デビュー作であり、小説現代長編新人賞受…
7月に文庫化された『拳に聞け!』(双葉社)は、『罪の声』『騙し絵の牙』といったベストセラーで知られる作家・塩田武士が、ボクシングをモチーフにして描く人間ドラマだ。 物語の語り手となる池上省吾は、35歳の中年男性。高校時代の後輩が社長の便利屋で…
『歪んだ波紋』 ●あらすじ● 地方新聞社の中堅記者・沢村は、ひき逃げ事件の調査を依頼される。遺族の車が犯行車両に使用されたとの情報を入手し、被害者の妻に直接取材を行う。しかしその依頼にはある悪意が介在しており……。虚報を描いた「黒い依頼」や表題…