「シリーズ10周年、原点に戻って安楽椅子探偵ものに挑戦」──「珈琲店タレーランの事件簿」岡崎琢磨インタビュー
京都の裏路地にひっそりたたずむ珈琲店「タレーラン」。扉の向こうで待ち受けるのは、バリスタ・切間美星の笑顔。持ち前の推理力を生かし、彼女はさまざまな謎を解き明かす──。
「珈琲店タレーランの事件簿」は、『このミステリーがすごい!』大賞から生まれた人気シリーズ。美星の見事な推理、常連客アオヤマとの恋模様が読者の心をつかみ、累計発行部数235万部を誇る大ヒットとなっている。6巻ではふたりの仲が一歩進んだものの、最新作『珈琲店タレーランの事件簿7 悲しみの底に角砂糖を沈めて』(岡崎琢磨/宝島社)では、アオヤマ君はほぼ登場しない短編集に。タレーランの客が謎を持ち込み、美星が鮮やかに解いてみせる、安楽椅子探偵ものの直球ミステリーになっている。
なぜ、ここへ来て方向転換を図ったのか。収録された短編の共通点とは。そして、10周年を迎えた同シリーズの今後とは。著者の岡崎琢磨さんに話をうかがった。
取材・文=野本由起 写真:Atsuko Tanaka
キャラクターの要素を排し、ミステリーに真っ向から挑んだ意欲作
──このたび、2年4ヵ月ぶりに「珈琲店タレーランの事…