「遺作になることを望まれている」樹木希林が元ハンセン病患者を演じる映画『あん』制作発表会見レポート
2015年注目の1作がある。映画『あん』だ。 「全身がん」を公表しながら活動を続ける樹木希林が、元ハンセン病患者の主人公を演じる本作。監督は、日本人女性映画監督として初の快挙となる、フランス政府から贈られる芸術文化勲章“シュバリエ”を受賞したばかりの河瀬直美。河瀬監督は過去にも、カンヌ国際映画祭やウラジオストク国際映画祭での受賞歴があり、海外での評価も高い、いま注目の女性監督だ。
『あん』は、作家でミュージシャンのドリアン助川氏が手がけた同名小説が原作。あることがきっかけでムショ暮らしを経験した後、どら焼き屋「どら春」の雇われ店長となった千太郎。ある日、その店の求人募集の貼り紙をみて、千太郎にその店で働くことを懇願する老女、樹木希林演じる“徳江”が現れる。徳江は、ハンセン病を患った過去を持ち、いつしかそのことが、近所の噂になってしまう。徳江がつくる「粒あん」の美しさにお客が集まりお店が軌道にのった矢先だった。次第に客足が遠のき、「どら春」の状況を察した徳江は、清く店を去ることを決める。それ以来、徳江は姿を見せることはなかった。いったい徳江はどこ…