知らなければよかった真実に絶望する。貴志祐介が贈る、珠玉のホラーミステリ『梅雨物語』
じっとりとした恐怖が、全身にまとわりついている。降り止まない長雨の中に閉じ込められたような、絶望感。ジメジメと蒸し暑いはずなのに、ゾクゾクと寒気すら感じる。この本を読み終えてからしばらく経った今も、そんな陰鬱を引きずっている。おそらくそれ…
じっとりとした恐怖が、全身にまとわりついている。降り止まない長雨の中に閉じ込められたような、絶望感。ジメジメと蒸し暑いはずなのに、ゾクゾクと寒気すら感じる。この本を読み終えてからしばらく経った今も、そんな陰鬱を引きずっている。おそらくそれ…
あなたは、前世の存在を信じているだろうか。もしかしたら、身近な人を亡くした経験や自分の命が残りわずかだと悟った人は、来世の存在を信じたいと思うと同時に、前世の存在も信じようと思うのかもしれない。死んだらどうなるのかなど、誰にも分からない。…
ミステリーの醍醐味はなんといっても「謎解き」の興奮。それを思う存分味わいたい人には、『ミステリークロック』(貴志祐介/KADOKAWA)を大プッシュしたい。 貴志祐介さんの著書といえば『悪の教典』や『黒い家』などのサイコサスペンスものがまず頭に浮か…
「これぞ一気読み!」寝る間も惜しんで読んでしまったのが、12月21日に電子書籍化された『ダークゾーン』(貴志祐介/KADOKAWA)。将棋×バトルものということで、将棋の知識ゼロ、最近の「ひふみん」や藤井聡太くんのブームにあまりノれずにいた私ですが、そ…
われわれ「古代人」がすっかり滅亡した未来。「現代人」は3000人ほどの小さなコロニーを作って、静かで平和な生活を営んでいる。内燃機関のような「野蛮」なシステムは廃絶し、暮らしと経済をつかさどっているのは「呪力」と呼ばれる不思議な力だ。これは、…
密室トリックと言えば本格ミステリの花。針だの糸だの氷だのを使って鍵をかけるような古式ゆかしいトリックから、人の心理の隙をついて作る密室まで、その前例は星の数ほどある。もうトリックは出尽くしたのでは…とも思えてくるが、本書を読めば「いやいやそ…
ある日曜日、介護会社の重役たちが休日出勤をしていたとき、殺人事件が起きた。しかしビルのそのフロアに入るにはまず警備員室の前を通り、エレベータには暗証番号が必要で、廊下には監視カメラ、他の部屋には人がいて、窓は開け閉めできない嵌め殺し…何重も…