地方に飛ばされ奮闘するビール営業マンを描いた青春小説。麦100%のコクと旨みあり
“プロフィール”フェチである。ヒトの経歴を知りたがる節がある。例えばレストランにて。このシェフはどこのレストランで修業し、誰の影響を強く受けているのか。果ては、なに県出身のなに型、学校はどこ? と興味は尽きない。購読本選びにおいてもしかり。ことにこの本は、著者の経歴とタイトルにビビッときた。
著者は「サントリー宣伝部勤務を経て、作家に」と巻末の“著者紹介”にある。サントリー宣伝部といえば、彼の開高健、山口瞳を筆頭に妙手を輩出している、業界では知られた存在だ。同頁に記された1954年生まれと言う記述から推測するに、70年代後半入社、80年代のサントリーを良く知る人物と解く。まぁ、あくまでも憶測ですが。この“リアル”を認知して読むと、素で読むより断然面白いハズ(あら、ちょっとマニアック?)。
主人公の“おれ”は大学を卒業後、サントリー的な存在の大手飲料メーカー『スターライト』に入社。そして競争率3200倍という難関を勝ち抜きエリート部署、宣伝部に配属される。まさに、著者の経歴の如し、なのだと思われる。
さて、元来をお調子者と称する“おれ”の方は、憧れの…