植物の「記憶」を辿るプラントハンターの物語 ー異色の冒険譚『アルボスアニマ』
『アルボスアニマ』(橋本花鳥/リュウコミックス)
ぼくらのごく身近にいながらにして、非常に意思疎通が困難な存在。それが植物だ。動物のように目に見えて動くわけでもなく、ただただそこに生えているだけ。2015年12月12日に第2巻が発売した『アルボスアニマ』(橋本花鳥/リュウコミックス)は、そんな植物が持つ「記憶」を辿る特殊能力を持つプラントハンターを主人公に据えた、冒険譚である。
主人公・ノアは、16歳の植物採集家。とある事情から15年間軟禁状態で育ち、友人と呼べるのは、まさに植物だけ。誰よりも植物を愛し、誰よりも植物の気持ちを理解しようとする。だからこそ彼は、周囲も一目置く優秀なプラントハンターになったのだ。
そんな彼は、類まれなる特殊能力を持っている。「起源追想」と呼ばれるその能力は、植物の根に宿った記憶を見るというもの。発動中に植物から体を引き剥がされると、精神を根に持って行かれ死んでしまうという危険性を孕むものの、プラントハンターとして生きる彼にとってこの能力は最大の武器でもあるのだ。
このように危うさを感じさせるノアを守るのが、元海賊の…