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金原ひとみ

職業・肩書き
作家
ふりがな
かねはら・ひとみ

プロフィール

最終更新 : 2019-11-18

1983年8月8日、東京生まれ。小説家。実父は、法政大学社会学部教授・児童文学研究家・翻訳家の金原瑞人氏。12歳のころから小説を書き始める。20歳の時に周囲から勧められ、すばる文学賞に応募。2003年、舌先が蛇のように割れたスプリットタンに魅了された少女が身体改造にはまっていく物語を描いたデビュー作「蛇にピアス」(2004年、集英社)で、第27回すばる文学賞を受賞。2004年には、同作品で第130回芥川賞を綿矢りさと共に受賞した。ベストセラー小説として28か国語で翻訳出版されている。また、2008年には、蜷川幸雄氏監督により映画化された。2007年には、フランツ・カフカの短編「田舎医者」をモチーフにした山村浩二氏監督のアニメ映画「カフカ 田舎医者」で初映画出演を果たした。

短編集「TRIP TRAP」(2009年、角川書店)で第27回織田作之助賞を受賞。「マザーズ」(2011年、新潮社)では、三人の若い母親が抱える孤独と焦燥を描き、同年第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した。

著書には、十代後半でストーカー化した元恋人に刺された過去を持つ女性と、その未成年の甥との関係を描いた長編小説「軽薄」(2016年、新潮社)や、「アッシュベイビー」(2004年、集英社)、「オートフィクション」(2006年、集英社)、「ハイドラ」(2007年、新潮社)、「マリアージュ・マリアージュ」(2012年、新潮社)、「クラウドガール」(2017年、朝日新聞出版)などがある。

受賞歴

最終更新 : 2018-06-08

2003年
『蛇にピアス』第27回すばる文学賞
2004年
『蛇にピアス』第130回芥川賞
2010年
『TRIP TRAP(トリップ・トラップ)』第27回織田作之助賞
2012年
『マザーズ』第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞

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 割れるように頭が痛い。いやむしろ、頭の上でガラスをかち割られたような、いやもっとシンプルに壺で頭を殴られたような痛みだ。はっとして一瞬で上半身を起こす。私は何か交通事故にでも遭ったのだろうか。完全に記憶が欠落していた。右を見て、左を見て、後ろを振り返る。カーテンを通過する明るみ始めた空からの光を受ける男は、どう見てもあのバーテンの彼で、ベッドの脇に置かれた眼鏡はあのバーテンの彼の眼鏡だった。そして感触からして私は完全に裸で、でも触ってみた感じとりあえず中出しはされてなそうだった。ぼさぼさの髪を撫で付けると、事後特有のキューティクルが逆立っているような、ざらざらと指が引っかかる感触があった。一…

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『アンソーシャル ディスタンス』(金原ひとみ/新潮社)

 がくんと頭が揺れてハッとする。校了前でもないというのに、日中からデスクで船を漕ぐなんてさすがにひどい。氷カップに注いだストロングをストローで吸い上げると、氷がかなり溶けて味が薄くなりかけていた。しばらく意識が飛んでいたのだろうか。  月曜だというのに、疲れも寝不足も極まっていた。土曜日は夕方から朝まで約十時間大学時代の友達と飲み、昼過ぎに起きて二日酔いのまま原稿を読みつつ、ひどい状態だった部屋を掃除し、無理やり行成をソファに移動させて久しぶりにシーツを洗濯した。枕の染みがひどく、私はまた少し行成を嫌いになる。そのせいで、普段は土日は出ないと伝えていたのに、昔からの友達と飲んでるんだけど良かっ…

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『アンソーシャル ディスタンス』(金原ひとみ/新潮社)

 肉巻き雲丹の軍艦に醤油をつけて頬張る。雲丹と醤油の味が強く、ほとんど肉の味がしない。肉から滲み出るのは、脂の匂いばかりだった。行成は主役の雲丹、裕翔は味付けの醤油、私はこの味気のない肉。主役の恋人と見せかけた、映(ば)えるから海苔の代わりにやってみようという浅はかな思いつきで薄くスライスされた安い肉だ。やってみたらやっぱ海苔の方がよくね? と思われる代替可能が過ぎる罪深き薄い肉だ。 「ミナはさ、このままでいいの?」  いいと思ってるわけがない。でももうどうしたら良いのか分からない。そしてどうしたら良いのか分からないのは、あなたとの関係も同じだ。か弱そうな若い女性店員が危なっかしく一升瓶からぐ…

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 私の酒量が増え始めたのはその頃だった。仕事のストレスもあるし、ほとんど外に出れなくなってしまった彼を支える重圧もあるのだろうと、私はアル中という言葉が常に頭のどこかに存在しているのを感じながら、見て見ぬ振りをし続けた。酒に酔って少しずつあらゆる感覚が麻痺し、理性と冷静さを欠いていく自分を自覚しながら、それでもそれ以外の道を選ぶことはできなかった。  朝起きてまずストロングを飲み干す。化粧をしながら二本目のストロングを嗜(たしな)む。通勤中は爆音で音楽を聴きながらパズルゲームをやり、会社に着くとすぐにメールや電話の連絡作業をこなす。昼はコンビニで済ませてしまうか、セナちゃんや他の同僚と社食や外…

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金原ひとみさんの『アンソーシャル ディスタンス』は、コロナ以前/コロナ後の人間の精神のあり方を可視化した短編集だ。5つの短編はそれぞれに、ある状況へと追いつめられていく主人公の姿が、一人称の視点で語られる。冒頭を飾る「ストロングゼロ」は、うつ状態に陥った恋人を自宅で看護する日々に消耗した女性編集者の桝本美奈が、高アルコール飲料に依存していく物語だ。

(取材・文=榎本正樹 撮影=冨永智子)

「フランスから帰国後すぐに書き始めた短編です。外国から帰ってきて、日本でのお酒の飲み方の特殊性を痛感しました。仕事帰りにコンビニの駐車場で普通にお酒を飲んでいる人がいたりと、とてもカジュアルなんですね。欧米では、そういう飲み方をしている人は目にしないので、単純に興味が湧きました。24時間営業のコンビニでいつでもお酒を買えますし、ネットで注文すれば、翌日には配送してもらえる。日本ではアルコールを取り巻く環境が整いすぎているがゆえに、場合によっては蟻地獄のような状況が生じうる。それがとても怖いと思いましたし、私自身も片足を突っこんでいる実感があり、高アルコール飲料に侵…

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『サリンジャーに、マティーニを教わった』(金原瑞人/潮出版社)

 英文学翻訳家と聞いて、どんな人を思い浮かべるだろう? バイリンガルもしくは、それ並みの英語力を持ち、当然英語ペラペラ、英語も日本語も自在に駆使できる人、というのが月並みだが、まず頭に浮かぶイメージだ。恐れ入ってしまうのは私だけではないだろう。

 エッセイ集『サリンジャーに、マティーニを教わった』(潮出版社)の著者・金原瑞人氏は、30年以上のキャリアを持ち、手がけた本はゆうに450冊を越えるという、超ベテラン翻訳家だ。『蛇とピアス』(集英社)で芥川賞を受賞した金原ひとみさんの実父でもある。これはもう、すごいインテリエッセイに違いない…とおそるおそる本を開いたら、冒頭のエピソードは「昔も今も洋の東西を問わずダメ男を書いた本がなぜかおもしろい」。海外のヤングアダルト作品から近松まで、ダメ男が次々に登場する、なんとも思いがけないオープニングなのだ。最後には未翻訳本からとっておきのダメ男、ダメ人間が紹介される。これはずるい、読んでみたくなったって、翻訳されていないのだ。

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『持たざる者』(金原ひとみ/集英社)

 デビュー以来、金原ひとみさんは共同体から孤絶した個人を描き続けてきた。主人公の多くは、金原さん自身のプロフィールやイメージに重ねられてきた。『マザーズ』(2011年)で初めて家族小説に挑戦した金原さんは、六人六様の結婚生活を描いた短編集『マリアージュ・マリアージュ』(12年)を経て、震災後の時間を生きる個人とその家族の運命を描いた本作に辿り着いた。 「インタビューなどで次にどのようなものが書きたいですかと訊かれると、デビューからずっと家族小説と答えてきました。気がついたら家族小説の世界に入りこんでいた感じです。結婚、出産、子育てと、私自身の実体験とリンクさせながら書くことで、結婚後の家庭生活が小説の重要な要素として自然な形で立ちあがってきました。デビューからしばらくは恋愛が中心で、一対一の関係であったり三角関係であったり、二、三人の狭い世界を一人称の視点で書いていました。『マザーズ』辺りから、一人の視点だけで物語を成り立たせることが難しくなってきました。そうして辿り着いたのが、章ごとに語り手をチェンジさ…

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