「俳句」とはいったいなんだろう? いとうせいこうが俳句界の巨人・金子兜太に挑む
『他流試合――俳句入門真剣勝負!』(講談社) 「俳句」とはいったいなんだろう? 『大辞泉』で調べてみると「五七五の三句の定型から成り、季語を含むことを約束とする日本独自の短詩系文芸」とあった。確かに松尾芭蕉の句「古池や蛙飛び込む水の音」は「ふるいけや/かわずとびこむ/みずのおと」と五文字、七文字、五文字のかたまりで、春の季語「蛙」があり、定型と約束を守っている。では「鉄鉢の中へも霰(あられ)」と詠んだ種田山頭火や、「せきをしてもひとり」の句で知られる尾崎放哉は?
1955年に第一句集『少年』を発表した俳人であり、現代俳句協会名誉会長を務める俳句界の巨人・金子兜太は、これらは立派な俳句であるという。その巨人に「俳句とは何か?」と果敢に挑んだのが、散文の書き手である作家のいとうせいこうだ。対談は1999~2000年に行われ、2001年に単行本『他流試合――兜太・せいこうの新俳句鑑賞』として刊行された。それから15年――「続編を上梓したかった」と言ういとうは金子と2016年に改めて対談、新たな「他流試合」を追加し、過去の対談に加筆・修正を加え、2017…