他人に左右されたくない人へ――力強くもしなやかな “銀色夏生流”生きかたエッセイは、読むクスリ!
『力をぬいて』(銀色夏生/KADOKAWA)
これは、圧倒的熱量で描かれたエッセイ集だ。読むだけで、こちらまで元気づけられるような、それでいて、ふっと程よく力が抜けるような、そんな作品だ。
その作品とは、女性詩人で写真家の銀色夏生氏の『力をぬいて』(KADOKAWA)。銀色氏の執筆活動30年の集大成ともいえるエッセイ集だ。銀色氏といえば、写真詩集や36巻刊行している日記風エッセイ「つれづれノート」シリーズで知られている。本作はその執筆を通して感じたことや疑問に思ったことなどに彼女なりの区切りや結論が出た事柄をまとめている。ひとたび本を開けば、誰もがこの本に書かれた言葉に圧倒されるのではないか。この作品は、元々の銀色夏生氏のファンという人はもちろんのこと、初めて銀色夏生氏の作品に触れるという人にもオススメしたい。忙しい毎日を送る人たちが忘れている大切なことがこの本にはぎっしり詰めこまれているような気がするのだ。
自分の、人の、未完成さを受け入れることも大事。人の意見を認められない時、認めなくていいから放っておく、そのままただ言わせておけばいい。 ―…