美しい雪山の風景と著者の熱い想いに触れられる。勇気をもらう、ノンフィクションエッセイ
なにかを頑張ることと祈ることは似ています。一生懸命打ち込むのはそれ自体がひとつの宗教。だから時には、ばかじゃないの、と言われてしまうこともあるけれどそれはたぶん信じるものが違うというだけの話。栗城史多さんにとってはそれは登山で、無謀に見えても彼にとっての真実はそこにあるんだなあ、ということがひしひし伝わってきた一冊です。
世界七大陸最高峰の単独無酸素登頂に挑む…といわれても、正直、登山素人の私にはなんのこっちゃよくわかりませんでした。が、この電子書籍、そんな素人のわたしにもとってもとっても親切で、冒頭の著者のインタビューからはじまり、雪山の風景、登頂までの道のりなどを写真・動画で見せてくれるのです。しかも著者の語り口はとてもシンプルで身近。なので、興味ない、わからない、で切り捨てることなく、冒頭からぐいぐい引き込まれていきました。登山の詳しいことはよくわかりません。でも、「やろうと決めたことを必ずやる」ことがそれだけでとっても難しいのは知っています。〈「なぜ山に登るのか」と聞かれたら、「希望を持ちつづけるため」と答える〉〈誰にでもいえることだが、生…