2000年の時を小さな遺物がつなぐ、そのロマンを鮮やかに描きたい
累計600万部を超える大ヒット作「炎の蜃気楼」シリーズの著者。コバルト文庫を代表する作家が満を持して放つ、日本古代史最大の謎にまつわるレリック(=遺物)ミステリーである本書『ほうらいの海翡翠』は、まず、主人公・無量の“天才遺物発掘師”という設定に惹きつけられる。 「最初に、特殊技能を持った男のコを主人公にしたいというのがありまして。じゃあ、私の守備範囲の中で特殊技能って何だろうと思ったときに、やはり歴史系かなと。しかも、それでアクティブに動けるものといったら“遺跡発掘”かなというのが最初のとっかかりでした。またもう一方で“ちょっと変わった事務所ものをやりたい”というのもあって。それを上手く組み合わせられないかなということで、発掘派遣事務所で働く女のコ(萌絵)と、遺物発掘師と呼ばれる男のコ(無量)の話にしようと思ったんですね」 その無量と萌絵のコンビが直面する物語は、古代へのロマンをかき立てずにはおかないトレジャー・ハンター的な要素も満載。また、無量と萌絵の二人だけでなく、彼らを取り巻く脇のキャラクターたちも非常にユニークで魅力的なのである。…