工藤夕貴「戦中の日本を舞台にした物語なのに、ヨーロッパ映画を感じさせる、不思議な作品です」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、8月8日より公開される映画『この国の空』に出演している工藤夕貴さん。「脚本を読んで、その面白さに惹かれた」と話す工藤さんが感じた、この映画の魅力とは?
「戦争を題材にしていますが、凄惨な戦闘シーンがあるわけではなく、恋愛映画でもあるのですが、分かりやすい純愛を描いているわけではないんですよね。ひと言で“こんな映画です”と説明するのが難しい作品。でも、ご覧いただければ、絶対に“観てよかった”と思ってもらえる自信があります」
戦時中の東京で暮らす母と娘。娘の里子(二階堂ふみ)は、疎開させた妻子と離れて生活を送る隣家の市毛猛男(長谷川博己)の身の回りの世話をするうちに、次第に淡い恋心を抱いていく。工藤さん演じる母親は、そんな娘の姿に“女”へと成長していく姿を感じ取っていくのだが……。
「言ってしまえば不倫ですし、戦争中という状況を考えると、許される恋ではないんです。ですから当然、娘にも『その恋心は胸の内に秘めておきなさ…