その日、受賞者たちの心境は? 第148回芥川賞・直木賞会見レポート
16日、第148回芥川賞・直木賞(日本文学振興会)の選考が行われ、芥川賞に黒田夏子氏『abさんご』(早稲田文学)、直木賞に朝井リョウ氏『何者』(新潮社)と安部龍太郎氏の『等伯』(日本経済新聞出版社)が選ばれた。
選考の会場となったのは、東京・築地の料亭「新喜楽」。はじめに芥川賞の結果が発表され、選考委員の堀江敏幸氏が講評をおこなった。
芥川賞 黒田夏子『abさんご』
「今回の選考は議論としても非常に楽しく、濃密な時間だった」と振り返った堀江氏は、受賞した黒田夏子氏の『abさんご』について、「横書きを用いることで、ひらがなの暴力性があらわれ、(読者を)何度も文章の前に立ち止まらせる力のある、非常に洗練された美しい作品である」と評価し、話題となっていた最年長受賞者であることについては、「不思議と話題になることはなかった。作品についてはむしろみずみずしいという評価もあった」と語った。
「(私の作品のように)他にもたくさんの隠れている作品を見つけられるきっかけになるのなら、それが私の役割なのかもしれないと思い、喜んでお受けいたしました。生きている間に見つけて…