外からは見えない、増え続ける心の病を治療する「セラピスト」の現場
『セラピスト』(最相葉月/新潮社)
『絶対音感』(単行本:小学館、文庫本:新潮社)や『星新一 一〇〇一話をつくった人』(新潮社)など数々のノンフィクション作品を世に問うてきた作家、最相葉月氏。最新刊『セラピスト』(新潮社)では、「箱庭療法」で知られる心理学者の河合隼雄氏や、「風景構成法」を考案した精神科医の中井久夫氏らを取り上げ、「心の治療のあり方」に焦点を当てている。
厚生労働省の発表によると、2011年の精神疾患の患者数は320.1万人、1999年の204.1万人から100万人以上増えている。しかしそれに対応する医師や看護師の数は患者数の増加に追いついていないのが現状で、呼称も「カウンセラー」「臨床心理士」など様々あり、診察の値段もバラバラ、さらに病院にはひっきりなしに患者が来るため、診察にかけられる時間が少ない(「3分診療」といわれている)など問題が山積しているという。また医師などとの出会いには運があると言われ、相性が合わなかったり、診断もそこそこにすぐに投薬を勧められたりなど、適切な治療が受けられないと感じている患者は多い。そしてどんな…