「震災以降、日本人すべてが“このままじゃダメなんだな”ということをうっすらわかってる」――『人類資金』対談 福井晴敏×森山未來
『人類資金』(福井晴敏/講談社)
原作・福井晴敏、監督・阪本順治という『亡国のイージス』コンビの最新作『人類資金』。物語の鍵となるのは占領下時代にGHQによって運用されたとされる 。本作は、時価数10兆円といわれるその金を盗み出すというバリバリのエンターテインメントでありつつ、“それを生きた金として、人類のために役立てると何ができるのか”という強いメッセージが込められた作品でもある。『ダ・ヴィンチ』10月号では、福井晴敏と、映画で、謎の男・Mの腹心となる石優樹を演じた森山未來との対談が実現した。
【福井】 この映画の脚本を書いてる途中で3・11があって、一度はもっと震災以降ってことに振り切れた脚本になったりしたんですよ。でも、だんだん自分たちの腹の中に落ちてくるにつれ、そういうことじゃないなって。経済を維持していくことと、人間の幸せを追求していくことのそりが合わなくなっている。この間の震災で、それが非常にわかりやすくなったと思うんです。
【森山】 確かにそうですよね。
【福井】 これまで「世界はこういう状況だから、ルールを変えよう」と言うためには、まず…