俺の物語を聞けぇー! な、硬派な吸血鬼譚
吸血鬼のお話です。それも電撃ゲーム小説大賞とか、日本SF新人賞とか、スニーカー大賞とか。どれも難関なのにまとめて獲っちゃった、あの三雲岳斗さんの。当然、無難な作品であるはずはなく、舞台が人工島だったり、ヒロインが獅子王機関とかいう組織で育った剣巫だったり、クラスメイトがバイトで島の中枢の保守をするようなプログラマーだったり。とにかく、設定をいちいち説明していたら、それだけで本になるのでは? という具合なんですよ。
しかも今回レビューするのは、そのコミック版です。絵ですから。アクションには強いけど、さりげなく世界を説明するのって難しいと思うんですよね。実際、第1巻は物語の準備に追われている感じはややします。けれど後半、いわゆる『引き』の部分で話は加速して、アクション満載の第2巻へと続くのはうまい配分です。最初は「もう少しキャラを丁寧に説明してあげればいいのに」とか思いましたが、さすが専門家ですね。
冒頭、1コマ目は文字だけ。それも「第四真祖」としかありません。そしてヒロイン雪菜さんの「私は第四真祖の監視役なのよ!」という宣言が続きます。懇切丁寧で、頭を…