まじめなダメ人間の生き様、ここにあり!
突然ですけど、『グリーンヒル』というコミックをご存じですか? 印象深い場面に、「泣いてるの? 笑ってるの?」と聞かれて、「両方」とメインキャラクターの“リーダー”が答えるところがあるのですが、この『34歳無職さん』を読んだときの印象もそんな感じです。“ゲラゲラ笑える”というより“乾いた笑い”といった方が正しいような。
本作は唐突に、アパートでひとり暮らしをする34歳の女性(無職)の日常を淡々と描写していくんです。後々、無職さんの無職になったいきさつなどが元同僚との会話でほのめかされたりしますけど、基本的にはよくできたひとり芝居を見ているような印象で楽しめます。あるときは、朝のゴミ出しだけが社会との接点だ、みたいにゴミ出しだけをひたすら追ってみたり。また別の日は、壊れた掃除機の代わりを買うか、ガムテープで修理して節約するかで悩んだり…特別な事件なんてなにもないのに、日々がものすごい早さで過ぎ去っていく。その無職な感じは、著者の経験が活かされているようですが、白眉です。
もうひとつ。主人公の無職さんは、まじめな人なんじゃないかと思うんです。仕事に対しても…