数奇者の「欲」が乱世を動かす? 戦国オタク魂ここに見参!
積まれた金や国ひとつ貰うより名品茶碗が重要で、死んでも茶釜は渡さないと爆死さえする人がいる。茶道や骨董品に興味がない人であればどうしてそうなると思いたくなるような考えですが、「数奇者(すきもの)とは芸の求道者=分かりやすくいえば熱烈な茶道オタク」だと考えるとなんとなく納得できてしまうから恐ろしい。工場・電車・アニメ・etc…分かる人には分かり、分からない人には多分一生分からない世界の住人。現代でも脈々と受け継がれる日本の業が、安土桃山時代の姿で生き生きと描かれているところが本作の見所です。本作は第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第14回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作、NHKでアニメ化もされた作品です。
戦国時代のマンガといえば武将の武勇伝・軍師の知略謀略といったものに主眼が置かれることが多いですが、本作では当時の芸術、特に茶道における美意識を通して見える世界を描いています。この点が大河ドラマ系とは違う持ち味を出しています。
例えば、主人公の古田左介。 このキャラは見ていて楽しい人です。出世欲も物欲も大きく、武と数奇の双方にたしなみを持っ…