絵画にまつわる事件に巻き込まれていく――。今、注目の若手ミステリ作家が描く『彼女の色に届くまで』

「美術館に行くと、日本人ってまず作者のプレートを見る傾向があるらしいんです。欧米の人からすると、“作品から観ればいいじゃないか”って、その行為が不思議に映るそうで。なぜプレートを先に見るのかというと、アートを“わかる人”になるためには知識が必要だと考えてしまうから。日本人って、真面目なんですよね(笑)。でもアートって、もっと自由に楽しむことのできるものだと思う」
似鳥 鶏 にたどり・けい●1981年、千葉県生まれ。2006年、第16回鮎川哲也賞佳作入選作『理由(わけ)あって冬に出る』でデビュー。同作から連なる「市立高校」シリーズで注目を集め、『戦力外捜査官』は14年にドラマ化。著書に『一〇一教室』『シャーロック・ホームズの十字架』など多数。
学生時代から美術館はもちろん、銀座、日本橋などに多く点在する画廊をぶらぶらはしごして回るほど、“アートが好物”。そんな似鳥さんが、デビュー10周年の記念すべき今年、第1弾として刊行した1冊は、アートの見方をガラリと変えてくれるかもしれない。 「絵を観てみたい、アートのこと知りたいけど、でも……と、その入口で…