「学生時代だったら、ぜったい仲良くならなかった」と実際に言われた。中学時代の「友達」と大人の「友達」の価値観。寺地はるなさんインタビュー
今年、『川のほとりに立つ者は』で2023年本屋大賞9位に入賞した寺地はるなさん。2021年には『水を縫う』で河合隼雄物語賞を受賞するなど、さまざまな賞にもノミネートされ、今もっとも注目されている作家の一人だ。そんな寺地さんの最新作『わたしたちに翼はいらない』(新潮社)は地方都市を舞台に、人間関係のしがらみから抜け出せずにもがく人たちを描いた物語。発売前重版も決定し、ますます注目を集める同作に、寺地さんがこめた想いとは。 (取材・文=立花もも 撮影=後藤利江)
「学生時代に知り合っていたら、ぜったい仲良くならなかったですよね」と実際に言われた
――本作では“友達”って何なんだろうと考えさせられました。中学時代の同級生で、地元の王様だった大樹と結婚し、そのまま人間関係を保ち続けている莉子。友達はいないと言い切る、シングルマザーの朱音。かつて自分をいじめていた大樹と会社で再会し、恨みを募らせる園田。地方都市に生きる人たちのしがらみも、ひしひしと迫ってきて。
寺地はるなさん(以下、寺地) 良くも悪くも、学生時代のことを引きずり続けてしまうことってありますよね…