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「寺地はるな」のレビュー・書評

寺地はるな最新作 舞台は小さな製菓会社。正社員とパート――仕事を通して人間関係が赤裸々に描かれる『こまどりたちが歌うなら』

寺地はるな最新作 舞台は小さな製菓会社。正社員とパート――仕事を通して人間関係が赤裸々に描かれる『こまどりたちが歌うなら』

対人関係で悩む時、いつも同じことを思う。この人が“悪”の成分100%の人間だったら、どれほど楽だろう、と。好きな部分も、よき思い出も、嫌いになりきれない要素もある。その中で、それでもどうしても“しんどい”と感じる側面がある時に、相手との関係に悩む…

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自殺するくらいなら人を殺してから?嫉妬・復讐・侮蔑などがもつれ合う世界が生々しすぎる『わたしたちに翼はいらない』

自殺するくらいなら人を殺してから?嫉妬・復讐・侮蔑などがもつれ合う世界が生々しすぎる『わたしたちに翼はいらない』

いじめ、自殺、復讐、嫉妬、侮蔑……あらゆる立場にある人間の機微を丁寧に掬い上げ、表立っては言えないが確実に存在している人間のどす黒い部分を見せてくれる小説『わたしたちに翼はいらない』(寺地はるな/新潮社)が発売された。 「わたしたち最強だった…

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「私の人生はとてもクソでした」が、全てを失った女性の人生を救った。遊園地の従業員の生き様を描いた『ほたるいしマジカルランド』

「私の人生はとてもクソでした」が、全てを失った女性の人生を救った。遊園地の従業員の生き様を描いた『ほたるいしマジカルランド』

「仕事」に対する捉え方は、人によってさまざまだ。仕事を「生きがい」と言う人もいれば、「生きるため」と割り切って仕事に向き合う人もいる。どちらが良いも悪いもないはずなのに、なぜか前者だけが持て囃され、後者を「消極的な生き方」と揶揄する風潮が…

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「ディスレクシア」による生きづらさとは。読み書き困難な学習障害に「努力不足」のレッテルを貼られて生きる者の物語『川のほとりに立つ者は』

「ディスレクシア」による生きづらさとは。読み書き困難な学習障害に「努力不足」のレッテルを貼られて生きる者の物語『川のほとりに立つ者は』

生まれつき備わっているものは、人によって違う。だが、その前提を私たちは忘れがちだ。自分にとっては造作もないことが、「できない」人もいる。それを見て「努力が足りない」とジャッジする人は、存外多い。 反対に、「“できない”相手への対応がわからない…

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「馬鹿な子だ」というレッテルは、その子の成長の芽を摘みかねない。寺地はるなの新作『川のほとりに立つ者は』は他人を尊重する大切さを再認識させる傑作だった

「馬鹿な子だ」というレッテルは、その子の成長の芽を摘みかねない。寺地はるなの新作『川のほとりに立つ者は』は他人を尊重する大切さを再認識させる傑作だった

自分が当たり前にできることを、うまくできない他人がいる。それができない人を「ダメな奴だ」と切り捨てるのは簡単だ。けれどその振る舞いは、きっといつか、自分も誰かに切り捨てられる未来に繋がっていく。そうならないために、私たちにはいったい何がで…

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「男らしさ」「女らしさ」の鎖を解き放ち、自分の人生を生きる。心が軽くなる連作短編集『大人は泣かないと思っていた』

「男らしさ」「女らしさ」の鎖を解き放ち、自分の人生を生きる。心が軽くなる連作短編集『大人は泣かないと思っていた』

「男は仕事、女は家庭」という価値観は、今や昔のものになりつつある。とはいえ、「泣くな、男の子だろう」「女のくせに気が利かないな」と、男らしさ、女らしさの枠に人を押し込めようとする風潮は今なお廃れていない。ジェンダーに限らず、「お兄ちゃんだ…

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「どこでも、何度でも、人はやり直せるし、変わっていける」――自分を大事にすることがわからない30歳女性の希望の物語

「どこでも、何度でも、人はやり直せるし、変わっていける」――自分を大事にすることがわからない30歳女性の希望の物語

〈あなた自身が、あなたを大事にしてないから。あなたがあなたを嫌っているから。だから周りの人はみんな、ますますあなたを大事にしないし、嫌いになる〉。『今日のハチミツ、あしたの私』(寺地はるな/角川春樹事務所)の冒頭で、中学生だった主人公に投げ…

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家族の「あるべき形」に傷つけられてきた大人たち…「大人だって泣きたくなる」連作短編集

家族の「あるべき形」に傷つけられてきた大人たち…「大人だって泣きたくなる」連作短編集

『大人は泣かないと思っていた』(寺地はるな/集英社文庫) 大人は泣かないと思っていた、というのが真実ではないことを、たいていの大人は知っている。泣かないのではなく、なかなか人前では泣けなくなるのだということも、泣いたところで何も解決しないし…

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