アイスダンスを軸に複雑に絡み合う、恋と過去の傷
幼い頃から母にフィギュアスケートを習っていた小学生の黒城みちる。シングルスケーターとして育てられていたが、本当は母と亡き父のようにアイスダンスをやりたかった。そんなとき、ハーフの少年・礼音と出会い、アイスダンスを習い始める。しかし、みちるはある事件に巻き込まれてしまい…。 『君はペット』でも知られる小川彌生・著。 1話はみちると礼音がアイスダンスを学んでいた幼い頃を、2話以降ではみちるたちが成長し、それぞれの道を歩み始めている姿を描いている。 フィギュアスケートという題材と共に描かれるのは、みちるを取り巻く恋愛と、彼女が幼い頃に巻き込まれたある事件。みちるはその事件のせいで、心に大きな傷を抱え、暗い闇から抜け出せずにいた。 ミステリー的要素ももちろん楽しめるのだけど、なんと言ってもフィギュアスケートの世界が垣間見られるのがおもしろい。おまけに、描かれているのが今人気のフィギュアの中でも、若干マイナー感が否めないアイスダンス。 2度ほど生で観たことがあるが、その美しさはシングルやペアとは異なる魅力がある。この作品を…