「30代は一番比べっこしがちなしんどい世代」小島慶子が語る、女たちのしんどさと今どきの「幸せ」
このほど、タレント・エッセイストの小島慶子さんの小説『幸せな結婚』(新潮社)が出版された。会社を辞めて夢を追うイクメンの夫・浩介×スタイリストの仕事が絶好調で勢いに乗る妻・美紅、家事と育児ばかりで孤独な妻・恵×チャンスを掴もうと必死のラジオDJの夫・英多。2組の夫婦の虚像と実態を鮮やかに描き「幸せ」とは何かをするどく問う物語だが、実は登場する女たちが「私のほうが幸せ!」と比べっこする心理のリアリティもゾクっとするほど怖い。「40代になって楽になった」と語る小島さんに、そんな女たちのしんどさと今どきの「幸せ」について聞いた。
●比べっこでしか幸せを実感できない時代
――この小説を書こうとしたきっかけを教えてください。
小島慶子さん(以下、小島) 今まで書いた小説は割と女同士のやりとりが中心だったんですが、今回は夫婦という単位にしてみようと。おおまかに同じ町内に住む華やかな妻とイクメンの邪な夫婦と二人ともイケてない夫婦の二組、たとえば前者はイクメンが意外にクソ野郎だったり、妻が稼いでいくことに夫の気持ちがざわついたり、かたや後者は全然家事をしない夫で、二…